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「注文住宅って、契約してから実際どれくらいで住めるようになるんだろう」
我が家の家づくりが想定よりかなり長引いているので、他の人はどうなのか気になって調べました。ところが各社の公式サイトを見ても、自社の工期を数字で出しているところがほとんどありません。
そこで施主が公開しているブログと掲示板の書き込みを208件集めて、実際にかかった期間を集計しました。
この記事の内容は動画でも解説しています(クリックで再生)
結論:契約から引き渡しまで、メーカーで7か月以上の差がある
| メーカー | 契約→引き渡し(中央値) | 実例数 | 範囲 |
|---|---|---|---|
| セキスイハイム | 5.8か月 | 6件 | 5〜6.5か月 |
| 大和ハウス | 6.0か月 | 4件 | 4〜8か月 |
| パナソニック ホームズ | 6.5か月 | 6件 | 4.2〜10.8か月 |
| タマホーム | 7.1か月 | 3件 | 5.4〜8.7か月 |
| ミサワホーム | 7.5か月 | 4件 | 5.7〜20か月 |
| 三井ホーム | 8.8か月 | 2件 | 8.5〜9か月 |
| アイ工務店 | 9.0か月 | 2件 | 8〜10か月 |
| 積水ハウス | 11.5か月 | 4件 | 8.5〜13.5か月 |
| 住友林業 | 12.0か月 | 6件 | 10〜15か月 |
| 一条工務店 | 13.0か月 | 24件 | 8〜21か月 |
全体の中央値は約10か月でした。最短のセキスイハイムと最長の一条工務店では7か月以上違います。
ただし実例数が2〜3件のメーカーは参考値として見てください。ブログを書いている施主の数がメーカーで偏るので、一条工務店だけ24件と厚くなっています。
意外だったこと:工事期間はどこもほぼ同じ
期間の差はどこで生まれているのか。契約から着工までと、着工から引き渡しまでに分けたら、はっきりしました。
工事にあたる「着工から引き渡しまで」は2.8〜6.0か月に収まっています。一方で「契約から着工まで」は2.5〜8.5か月と、3倍以上の開きがありました。
つまり家が建つ早さを決めているのは、工事のスピードではありません。打ち合わせ、申請、着工枠の順番待ちといった、現場が動き出す前の期間です。
工事だけ見れば、どこも2〜6か月
工場生産型のセキスイハイム(2.8か月)、大和ハウス(3.0か月)、ミサワホーム(3.1か月)が速いのは想像どおりでした。
面白いのはタマホームです。木造軸組の在来工法、つまり工場生産の比率でいえば低い部類なのに、2.8か月とセキスイハイムに並んでいます。同社は工期短縮の理由として工場ではなく「自社支店の工務チームによる直接施工管理」を挙げていて、実例もそれを裏付ける形になりました。
逆に住友林業は6.0か月で最長です。契約から着工までも5〜9か月かかっている例が多く、打ち合わせ26回という報告もありました。じっくり作る会社だということですね。
ろれさんに紹介をお願いする我が家は契約から2年4か月。ただし理由がある
自分の実データも出しておきます。かなり極端な例です。
| 出来事 | 時期 | 契約からの経過 |
|---|---|---|
| 建築工事請負契約 | 2024年10月 | 起点 |
| 最終承認(着手承諾) | 2026年4月28日 | 約1年6か月 |
| 地盤工事 | 2026年8月 | 約1年10か月 |
| 水道工事 | 2026年9月 | 約1年11か月 |
| 上棟(予定) | 2026年11月 | 約2年1か月 |
| 引き渡し(予定) | 2027年2月 | 約2年4か月 |
契約から引き渡しまで約2年4か月。集計した一条工務店の中央値13.0か月の倍近くあります。
ただし長さの正体は工事ではありません。契約から最終承認までの約1年6か月は、農地転用の申請にかかった時間です。土地が農地だったので、宅地に転用する手続きが必要でした。一条工務店だから遅かったわけではなく、どのメーカーで建てても同じだけかかる部分です。
最終承認から引き渡しまでは約9〜10か月。ここが実質的なメーカー側の期間になります。
なお2026年9月現在は水道工事の最中で、上棟はこれからです。上棟以降は予定として書いています。
同じような例は他にもありました
農地に建てた施主のブログを探したら、やはり長期化していました。
田んぼに一条工務店で建てた方は、仮契約2018年1月から引き渡し2019年8月で約1年半。当初は2月引き渡し予定だったのが、半年後ろ倒しになっています。農地転用の申請自体は2週間で通ったものの、その前の境界立ち会いと造成に時間がかかったそうです。
もっと気の毒なのは、着手承諾のあとで土地が「農用地」だと判明したケース。営業担当も把握していなかったそうで、行政書士に依頼して転用に1か月かかっています。
一方で、畑の農地転用をしながら契約から12か月に収めた方もいました。農地だから必ず長引くわけではないようです。
一条工務店を詳しく見る(実例33件)
一番サンプルが集まったので、単独で見てみます。
| 区間 | 実例数 | 最短 | 最長 | 中央値 |
|---|---|---|---|---|
| 契約→引き渡し | 24件 | 8.0か月 | 21.0か月 | 13.0か月 |
| 着工→引き渡し | 19件 | 3.0か月 | 6.5か月 | 4.5か月 |
| 着手承諾→着工 | 13件 | 1.0か月 | 4.2か月 | 2.0か月 |
「契約から◯か月」は起点次第で3〜5か月変わる
集計していて一番厄介だったのがここです。
一条工務店には仮契約と本契約があります。仮契約は坪単価を固定する目的で先に打つもので、100万円を入れます。ブログによってどちらを起点にしているかが書かれていないことが多く、数字がばらつく最大の原因になっていました。
- 仮契約起点だと15〜21か月
- 本契約起点だと8〜13か月
ネットでよく見る「一条は12〜18か月」という数字は、仮契約起点に近いようです。実測の中央値13.0か月とは整合しますが、起点を書かずに数字だけ見ると混乱します。
着工後は安定している
着工から引き渡しまでは3.0〜6.5か月、中央値4.5か月。施主の事情にほとんど左右されません。
複数のブログが、請負契約書に「基礎工事着工から170日以内に引き渡し」という条項があると書いていました。170日は約5.6か月なので、実測値ともよく合います。
長期化した例
- 上棟枠待ち:2024年2月契約で上棟が2025年5月下旬。契約から上棟まで15か月
- 着工待ち9か月:「11・12か月目は動きなし」と本人が明記
- 仮契約先行:坪単価固定のため早めに仮契約を打ち、引き渡しまで21か月
- コロナのコンテナ不足:フィリピン工場からの部材が届かず上棟が3週間以上遅延
着手承諾が遅れると、押さえていた上棟枠が後ろにずれるという指摘が複数のブログにありました。仕様決めを引っ張ると、その分だけ着工が遠のく構造のようです。
ろれさんに紹介をお願いする遅れた人は何が原因だったのか
ブログは順調に進んだ記録が中心になりがちなので、掲示板の書き込みも110件集めました。こちらは逆に、遅れて困っている相談が大半です。
| 遅れた理由 | 件数 |
|---|---|
| 業者側の管理不足・連絡不備 | 11件 |
| 申請・許認可の遅れ | 10件 |
| 資材・設備の供給不足 | 7件 |
| 職人不足・現場の重複 | 7件 |
| 土地側の事情(造成・地盤改良) | 5件 |
| 天候・季節 | 4件 |
| コロナの直接影響 | 3件 |
| 施主側の仕様決定の遅れ | 2件 |
天候で遅れるイメージがありましたが、実際は4件どまりでした。上位に来たのは担当者の休職や書類提出ミスといった業者側の事情と、申請の遅れです。
工務店経営者を名乗る回答者の書き込みが印象的でした。
工期の遅れは 必ずと言って良いほど起こる業界の悪しき体質です
工程表から2ヶ月遅れ位までが 許容範囲です
2か月の遅れは業界内では許容範囲、ということのようです。工程表をもらったら、そのつもりで予定を組んでおいたほうがよさそうですね。
2026年に効いてきているのは申請の遅れ
最近の書き込みで目立つのが、長期優良住宅の認定待ちです。
2025年5月に注文住宅を契約しました。当初は2025年8月引き渡し予定でしたが…最終的に2026年6月に着工
認定が人手不足で7か月待ちになり、契約から着工まで13か月に伸びた例です。
2025年4月に建築基準法が改正され、木造2階建ても構造関係の審査が必要になりました。同じ月から省エネ基準への適合も義務化されています。確認申請が下りずに何度も日程が変わり、銀行の融資手続きを2回やり直したという書き込みもありました。
これから契約する方は、申請まわりのバッファを厚めに見ておいたほうがいいと思います。
「早すぎる」ことを心配する声も
意外だったのは、遅いことと同じくらい「早すぎて不安」という書き込みがあったことです。
「契約から3か月でできるので不信感が」「2か月で一生涯の家ができてしまうのか」といった相談が並んでいました。特に3月と9月の引き渡しは、メーカーの決算期に当たるため駆け込みになりやすく、掲示板では警戒対象として語られています。
大手の軽量鉄骨で上棟から引き渡しまで1か月を切った例では、大工が朝7時半から夜8時まで入り、クロス屋が日曜出勤を申し出たそうです。施主自身が「無茶な工程」と書いていました。
【詳細】メーカーが公表している数字との答え合わせ
ここからは細かい話です。各社の公式サイトも一通り調べたので、実例と突き合わせておきます。
そもそも工期を公表しているのは1社だけ
大手10社の公式サイトを見たところ、自社の工期を数字で書いていたのはタマホームだけでした。
着工から完成までの期間は、2カ月から3ヵ月ですが、建物の規模等により変動することがあります。
(タマホーム公式FAQ)
実例5件の着工→引き渡しは2.6〜3.2か月で、中央値2.8か月。公式の言うとおりでした。ただし公式が言っているのは「完成まで」で、そこから施主検査と是正が入るため引き渡しは少し後ろにずれます。実測が上限の3か月寄りに貼り付いているのはそのためです。
残る9社は自社の工期を数字で出していません。各社サイトに「工事期間は3〜6か月」といった記述はありますが、ほとんどが集客用コラムの業界一般論で、「一般的に」と断り書きがついています。
セキスイハイムの「据付1日」は本当だった
セキスイハイムは公式で「据付はわずか1日」と言っています。実例を見ると本当でした。「据付3時間で家になった」という書き込みまでありました。
ただし据付から引き渡しまでは1.6〜2.2か月かかります。屋根と外壁が1日でつくだけで、内装と設備はそこから普通に工事するということですね。
なお同社の工期が短い理由は工場生産率の高さというより、基礎工事と建物の生産を並行できることのようです。公式もそう説明しています。
各社の公式記載
| メーカー | 自社の工期数値 | 公式サイトの記載 |
|---|---|---|
| 一条工務店 | なし | 15ステップに期間の記載が一切ない |
| 積水ハウス | なし | 「土地さがしから完成まで1年ほど」のみ |
| ヘーベルハウス | なし | 家づくり全体9〜15か月、工事3〜6か月(一般論) |
| 住友林業 | なし | 選定1か月・打合せ4か月・工事4〜6か月(一般論) |
| ミサワホーム | なし | 記載なし |
| 大和ハウス | なし | 工期3〜6か月(コラムの一般論) |
| パナソニック ホームズ | なし | 検討3〜4/準備2〜3/準備2〜3/工事3〜4か月 |
| セキスイハイム | なし | 据付「1日」のみ |
| 三井ホーム | なし | 着工は入居の3か月〜半年前(逆算表記) |
| タマホーム | あり | 着工〜完成 2〜3か月 |
大手で唯一、公式フロー図に全フェーズの期間を入れていたのがパナソニック ホームズです。全体で「おおよそ1年前後」としていますが、実例の中央値は6.5か月でした。公式のほうが長めに見積もっているようです。
この集計の限界
正直に書いておきます。
- 施主ブログは絶対日付を書く人が少数派で、「契約から◯か月」という本人の記述に頼った箇所があります
- 契約日を明示する人が特に少ないです。着手承諾・上棟・引き渡しは書いても、契約日はぼかす傾向がありました
- 都道府県が分かったのは全体の1割程度で、地域差は分析できていません
- ブログを書くのはマメな施主に偏ります。掲示板データはその補正のつもりですが、今度は遅延側に偏ります
- 掲示板は匿名で裏付けが取れません。投稿時期も2007年から2026年まで散らばっています
- 実例数がメーカーで大きく偏ります(一条24件に対し三井ホーム2件)
数字は目安として見てください。同じメーカーでも土地の条件と仕様決めのスピード次第で、倍くらいは平気で変わります。
まとめ
- 契約から引き渡しまでの中央値は全体で約10か月。メーカー別ではセキスイハイム5.8か月から一条工務店13.0か月まで7か月以上の差
- 差の正体は工事ではない。着工から引き渡しまでは2.8〜6.0か月に収まるが、契約から着工までは2.5〜8.5か月と幅が大きい
- 工場生産型が着工後は速い。ただし木造のタマホームも2.8か月で並ぶので、工法だけでは決まらない
- 遅れる原因の1位は業者側の管理不足、2位は申請の遅れ。天候は4件どまり
- 2025年4月の法改正と長期優良住宅の認定待ちで、申請まわりが最近のボトルネックになっている
- 我が家は契約から2年4か月かかる見込みだが、うち1年半は農地転用の申請待ち
「早く建てたい」なら、メーカーを比べるより先に、自分の土地に申請が必要かどうかを確認したほうが早いです。それと、仕様をさっさと決めきること。この2つで半年から1年変わります。
契約前に複数社の提案を比べる方法【PR】
この記事で見てきたとおり、引き渡しまでの期間に差が出るのは工事ではなく、契約から着工までの打ち合わせや申請の期間です。仕様を決めきるには、自分たちがどんな間取りを望み、予算をどこに配分したいのかが見えている必要があります。契約前に複数の住宅会社から間取りや資金計画の提案を受けて比べておくと、各社の考え方の違いを通して自分たちの希望を整理しやすくなります。
その材料をまとめて集める方法の1つが「タウンライフ家づくり」です。希望の条件を入力すると、自分で選んだ複数の住宅会社から「間取りプラン」「資金計画」「土地探し」の提案が無料で届きます。掲載されている住宅会社は全国1,200社以上で、そのうち大手ハウスメーカーは36社以上です。
届いた提案は、間取りと資金計画の希望を整理する材料に使えます。土地探しの提案を受けた場合は、その土地に農地転用などの申請が必要かどうかも、あわせて各社に確認しておくと安心です。
一条工務店も候補に入れる場合は、依頼したあと一条の営業さんから連絡が来ることがあります。資料請求の段階なら一般に紹介制度は使えるとされていますが、営業さんとのやり取りが進むと扱いが変わることがあるため、展示場に行く前に紹介の手続きを済ませておくのが安全です。どの時点まで間に合うかは紹介制度のタイミング早見表にまとめています。
一条工務店で検討している方は、紹介制度も見てみてください。
ろれさんに紹介をお願いするデータの出典について
本記事の期間データは、施主が公開しているブログ記事と掲示板の書き込みから独自に集計したものです。収集期間は2026年8月28日〜9月4日、収集件数は208件(施主ブログ98件、Yahoo!知恵袋・e戸建て等110件)。日付が2点以上確認できたものを採用し、本人が「契約から◯か月」と書いている場合はその記述を採用しています。
各社の公式サイトの記載については、以下を参照しました。