岐阜県で一条工務店を建てる。岐阜市と高山市で設計条件が別物になります【2026年版】
岐阜県で一条工務店を検討していて、「うちの地域は寒冷地の仕様になるのか」「雪の対策はどこまで必要なのか」と気になっていませんか。
先に結論をお伝えすると、岐阜県は同じ県の中で設計条件が最も大きく変わる県のひとつです。岐阜市と高山市では年降雪量が約9倍違います。省エネ地域区分は3・4・5・6地域の4区分にまたがり、多雪区域の指定もあります。「岐阜県だからこの仕様」という話がまったく成立しない県です。
私(ろれさん)は埼玉県で一条工務店の平屋を建築中の施主です。岐阜に住んだことはないので体感は語れません。そのぶん気象庁・総務省統計局・住宅金融支援機構・一条工務店の公式サイトの数値だけを根拠に、岐阜で検討している方が最初に知っておきたいことをまとめます。
結論:建築地が飛騨側か南部かで、話がまるごと変わる
先に要点をまとめます。
| 気になること | 岐阜県の答え |
|---|---|
| 県内の気候差は? | 年降雪量は岐阜市34cm・高山市305cmで約9倍 |
| 断熱の基準は県内で同じ? | 3・4・5・6地域の4区分にまたがる |
| 雪の設計対応は必要? | 多雪区域の指定あり。単位荷重は1cmあたり30N |
| 垂直積雪量は? | 南部平野0.3m〜白川村3.8m。約13倍の幅 |
| 寒冷地仕様は対応している? | 一条の寒冷地ページに載る東海で唯一の県 |
| 一条の規模は? | 展示場16ヶ所・建築棟数8,853棟。営業所設立34年超 |
| いくらで建てられる? | 建設費3,776.5万円。全国平均より約156万円安い |
| 一戸建は多い? | 74.2%で全国(52.7%)より21ポイント高い |
ここから、県内の気候差・雪・地域区分・寒冷地対応・住宅事情の順に見ていきます。
岐阜市と高山市で、気候が真逆になる
まず岐阜県で一番押さえておきたい話から入ります。気象庁の平年値(1991〜2020年)で岐阜市と高山市を並べると、同じ県とは思えない数字が出てきます。
| 気候(平年値) | 岐阜市 | 高山市 |
|---|---|---|
| 年降雪量 | 34cm | 305cm |
| 猛暑日(35℃以上) | 16.7日 | 4.0日 |
| 熱帯夜(夜25℃以上) | 26.1日 | 0.0日 |
| 冬日(0℃未満) | 29.1日 | 112.5日 |
| 真冬日(終日0℃未満) | 0.0日 | 7.7日 |
| 1月の平均気温 | 4.6℃ | -1.2℃ |
数字を順番に見ていきます。
年降雪量は高山市305cmで、岐阜市(34cm)の約9倍です。3メートル分の雪が1年で降る計算になります。
夏は逆転します。岐阜市の猛暑日16.7日は名古屋(15.0日)を上回る水準です。熱帯夜も26.1日あります。一方の高山市は猛暑日4.0日で、熱帯夜は0.0日。夏の夜に室温25℃を下回らない日が平年ではないということです。
冬はさらに差が開きます。高山市の冬日は112.5日で年の約3分の1。1日中0℃を下回る真冬日が7.7日あり、1月の平均気温はマイナス1.2℃です。岐阜市の真冬日は0.0日です。
家づくりに引き寄せると、岐阜市で建てる場合は「夏の暑さ対策」が主題になり、高山市で建てる場合は「冬の断熱と積雪」が主題になります。同じ県内なのに、優先順位が正反対です。
岐阜県には多雪区域の指定がある。単位荷重は30N
雪の話を続けます。ここは法律の話が絡むので丁寧に説明します。
建築基準法では、雪の重さを構造計算に入れます。積雪1cmあたりの重さ(単位荷重)は原則1㎡につき20ニュートン以上と決まっていますが、雪の多い地域は「多雪区域」として特定行政庁(都道府県や市)が指定し、より重い前提で計算します。
岐阜県は多雪区域を指定しており、単位荷重は1cmあたり30ニュートンです。一般地域の1.5倍の重さで計算するということです。
| エリア | 垂直積雪量 |
|---|---|
| 大野郡 白川村(県内で最大) | 3.8m |
| 揖斐川町(旧坂内村) | 3.0m |
| 飛騨市(旧宮川村) | 2.8m |
| 郡上市(旧高鷲村)・高山市(旧荘川村) | 2.6m |
| 県内の最小値(南部の平野部など) | 0.3m |
垂直積雪量は、屋根にどれだけ雪が積もる前提で設計するかという数値です。国が一律に決めた表ではなく、都道府県が施行細則で市町村・地区ごとに定めています。
白川村の3.8mは、南部平野の0.3mと比べて約13倍です。3.8mの雪が屋根に載る前提で構造を組むというのは、南部で建てるのとはまったく別の設計になります。
一条工務店は公式に「多雪地域では、積雪量1cmごとに約3kg/m²の積雪荷重に耐えられる構造計算も実施」としています。飛騨側で建てる場合は、この構造計算が入ってくることになります。
なお、垂直積雪量の具体的な数値は市町村・地区ごとに細かく分かれています。合併前の旧村単位で指定されているケースも多いです。土地が決まったら、所管の特定行政庁(県または市)に自分の敷地の数値を確認するのが確実です。
岐阜県は省エネ地域区分が4つに分かれる
断熱の基準の話です。省エネ地域区分は国が市町村ごとに定めていて、この区分によってUA値(家全体の熱の逃げやすさを示す数値)の目標が変わります。
| 地域区分 | 該当する市町村 | 寒さの目安 |
|---|---|---|
| 3地域 | 飛騨市・白川村・郡上市(旧高鷲村) | 岩手・秋田と同じ基準 |
| 4地域 | 高山市・郡上市・下呂市・中津川市北部 | 東北南部と同じ |
| 5地域 | 3・4・6地域を除く県内のエリア | 北関東の内陸と同じ |
| 6地域 | 岐阜市・大垣市など南部の平野 | 関東平野・名古屋と同じ |
岐阜市・大垣市など南部の平野は6地域で、これは私が建てている埼玉と同じ区分です。
対して飛騨市・白川村・郡上市の旧高鷲村は3地域です。3地域は岩手県や秋田県と同じ区分になります。東北の内陸と同じ断熱基準が求められるということです。
つまり同じ岐阜県内で、6地域と3地域が同時に存在します。3区分ぶんの差があるので、UA値の目標も別物になります。
一条の場合、断熱等級7のUA値基準は地域区分ごとに変わります。6地域なら0.26ですが、3地域では別の数値です。「一条の断熱等級7」と言っても、地域によって求められる性能が違うということは押さえておいたほうがいいです。
ろれさんに紹介をお願いする岐阜は一条の寒冷地ページに載る、東海で唯一の県
一条工務店との関わりについて触れておきます。
一条工務店の公式サイトには寒冷地向けの特設ページがあり、寒冷地で建てる方向けの情報がまとめられています。このページの展示場エリア選択に登場するのは全国15地域です。
| 東海4県 | 寒冷地ページ | 多雪区域の指定 |
|---|---|---|
| 岐阜県 | 掲載あり | あり |
| 愛知県 | — | なし |
| 静岡県 | — | なし |
| 三重県 | — | なし |
東海4県で掲載されているのは岐阜県だけです。愛知・静岡・三重はいずれも登場せず、多雪区域の指定もありません。
岐阜県の規模は展示場16ヶ所・建築棟数実績8,853棟です。営業所の設立から34年を超えています。愛知(48ヶ所・33,608棟)や静岡(42ヶ所・26,602棟)と比べると規模は小さいですが、公式サイトでは「岐阜県戸建 着工棟数NO.1」と表記されています。
寒冷地の仕様が具体的にどう変わるかは、展示場で確認するのが確実です。飛騨側で建てるなら、その条件で建てた実績のある担当者に聞くのが早いと思います。
岐阜は一戸建74.2%・持ち家73.7%で全国屈指
住宅事情と建築費をまとめて見ます。
| 住宅・費用 | 岐阜県 | 全国 |
|---|---|---|
| 一戸建の割合 | 74.2% | 52.7% |
| 持ち家住宅率 | 73.7% | 60.9% |
| 敷地面積 | 388.2㎡ | 329.7㎡ |
| 注文住宅の建設費 | 3,776.5万円 | 3,932.1万円 |
| 世帯年収 | 560.1万円 | 652.5万円 |
一戸建74.2%は全国(52.7%)より21ポイント高く、全国でもかなり上位の水準です。持ち家住宅率73.7%、木造住宅の割合69.1%も全国平均を大きく上回ります。岐阜県は「戸建てで木造の持ち家」が標準という県です。
敷地面積388.2㎡(約117坪)は全国平均より約18坪広いです。土地に余裕があるので、平屋や庭を取る設計の選択肢は広がります。
一方で気になるのは世帯年収です。560.1万円で全国平均(652.5万円)より約92万円低い。建設費が全国平均より約156万円安いとはいえ、年収に対する住宅費の比率としては軽くありません。予算の上限を早めに決めておく価値があります。
| 項目 | 岐阜県 | 全国平均 |
|---|---|---|
| 建設費 | 3,776.5万円 | 3,932.1万円 |
| 住宅面積 | 112.3㎡ | 118.5㎡ |
| 敷地面積 | 388.2㎡ | 329.7㎡ |
| 世帯年収 | 560.1万円 | 652.5万円 |
| 世帯主年齢 | 49.2歳 | 48.9歳 |
| 件数 | 87件 | 3,272件 |
なお、この数値は一条工務店に限らない県内の注文住宅全体の平均です。一条は坪単価が高めのハウスメーカーなので、この金額で建てられるという意味ではありません。私の場合は21坪の平屋で、坪単価ベースでは約130万円まで膨らみました。詳しくは 一条工務店の見積もりが上がっていく理由 に書いています。
【詳細】岐阜で押さえておきたい細かい数字
ここからは細かい話です。読み飛ばしても本筋には影響しません。
光熱費
総務省の家計調査(2023〜2025年平均)による岐阜市の数字です。
| 項目 | 岐阜市 | 全国順位(52市中) | 全国平均 |
|---|---|---|---|
| 電気代 | 166,381円 | 14位 | 149,965円 |
| 都市ガス | 45,755円 | 20位 | 39,035円 |
| プロパンガス | 23,861円 | 27位 | 20,309円 |
| 灯油 | 12,151円 | 19位 | 15,094円 |
電気代166,381円は14位で、全国平均より約1万6千円高いです。岐阜市は猛暑日16.7日・熱帯夜26.1日という夏の暑さがあるので、冷房の負荷が数字に出ていると読めます。灯油12,151円が19位というのも、岐阜市の冬日29.1日という数字と噛み合います。
なお、この数字は岐阜市のものです。高山市は年降雪量305cm・真冬日7.7日という気候なので、暖房費はこれよりかなり大きくなるはずです。家計調査は県庁所在市が対象なので、飛騨側の実額はこの表からは読めません。
日照時間
年日照時間は岐阜市2,108.6時間、高山市1,638.3時間です。約470時間の差があります。高山市の年日照は全国的に見ても少ない側なので、太陽光発電を検討する場合は発電量の試算を建築地の条件で出してもらうのが確実です。
台風の接近数
気象庁の平年値では、東海地方への台風接近数は年3.5回です。
年降水量
岐阜市1,860.7mm、高山市1,776.5mmです。降水量そのものは大きく変わらず、高山側はそのうち相当量が雪として降るということになります。
まとめ
- 岐阜市と高山市で年降雪量が約9倍違う(34cm対305cm)。熱帯夜は岐阜市26.1日・高山市0.0日
- 高山市は冬日112.5日、真冬日7.7日、1月平均気温マイナス1.2℃
- 岐阜市の猛暑日16.7日は名古屋(15.0日)を上回る。南部は夏の暑さ対策が主題になる
- 岐阜県には多雪区域の指定がある。積雪の単位荷重は1cmあたり30N(一般の1.5倍)
- 垂直積雪量は南部平野0.3m〜白川村3.8mで約13倍の幅。旧村単位で指定されている
- 省エネ地域区分は3・4・5・6地域の4区分。飛騨市・白川村は3地域で岩手・秋田と同じ基準
- 一条工務店の寒冷地向け特設ページに載る東海で唯一の県
- 展示場16ヶ所・建築棟数8,853棟・営業所設立34年超
- 一戸建74.2%・持ち家73.7%は全国屈指の水準。敷地388.2㎡は全国平均より約18坪広い
- 建設費3,776.5万円は全国平均より約156万円安いが、世帯年収も約92万円低い
岐阜県は「県のデータ」で判断できない県です。土地がどこにあるかで、断熱の基準・雪の設計・光熱費のすべてが変わります。まず自分の市町村の地域区分と垂直積雪量を確認するところから始めるのが、遠回りしない進め方だと思います。
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参考にした一次情報
- 気象庁 平年値(1991〜2020年)/台風の平年値
- 国土交通省告示第265号 別表第10(省エネ地域区分)
- 岐阜県建築基準法施行細則 第13条・別表第一(多雪区域)別表第二(垂直積雪量)
- 建築基準法施行令第86条/平成12年建設省告示第1455号
- 総務省統計局 家計調査(二人以上の世帯・都道府県庁所在市および政令指定都市・2023〜2025年平均)
- 総務省統計局 令和5年住宅・土地統計調査
- 住宅金融支援機構 フラット35利用者調査(2024年度・注文住宅)
- 一条工務店 公式サイト(寒冷地向け特設ページ・展示場一覧・岐阜県の情報・2026年8月時点)
よくある質問
- 岐阜県で一条工務店は建てられますか?
- 建てられます。県内には16ヶ所の展示場があり、建築棟数実績は8,853棟です。岐阜県は一条工務店の本体が直接担当しており、営業所の設立から34年を超えています。公式サイトでは「岐阜県戸建 着工棟数NO.1」と表記されています。
- 岐阜県で一条工務店を建てるといくらくらいかかりますか?
- 住宅金融支援機構のフラット35利用者調査(2024年度・注文住宅)による岐阜県の建設費は3,776.5万円です。これは一条工務店に限らない県内の注文住宅全体の数値ですが、全国平均(3,932.1万円)より約156万円安い水準です。県内87件のデータです。
- 岐阜県の省エネ地域区分は何地域ですか?
- 県内は3・4・5・6地域の4区分にまたがります。岐阜市・大垣市など南部の平野は6地域です。高山市・郡上市・下呂市・中津川市北部は4地域、飛騨市・白川村・郡上市の旧高鷲村は3地域で岩手県や秋田県と同じ基準になります。県名だけでは断熱の基準値は決まりません。
- 岐阜県は雪の対策が必要ですか?
- 建築地によります。岐阜県には多雪区域の指定があり、積雪の単位荷重は1cmあたり30ニュートンです(一般の20Nより重い前提)。垂直積雪量は南部平野の0.3mから大野郡白川村の3.8mまで幅があります。飛騨側で建てる場合は積雪荷重を前提にした設計が必要になります。
- 岐阜市と高山市では気候がどのくらい違いますか?
- 気象庁の平年値では、岐阜市の年降雪量は34cm、高山市は305cmで約9倍の差があります。熱帯夜は岐阜市26.1日に対し高山市は0.0日、1日中0℃を下回る真冬日は岐阜市0.0日に対し高山市7.7日です。1月の平均気温は岐阜市4.6℃、高山市はマイナス1.2℃です。
- 岐阜県は一条工務店の寒冷地仕様に対応していますか?
- 一条工務店の寒冷地向け特設ページには全国15地域が掲載されており、岐阜県はそのひとつです。東海4県(岐阜・愛知・静岡・三重)で掲載されているのは岐阜県だけです。具体的な仕様の違いは展示場で確認するのが確実です。
- 岐阜県は一戸建が多いですか?
- 全国屈指の水準です。令和5年住宅・土地統計調査による岐阜県の一戸建の割合は74.2%で、全国(52.7%)より21ポイント高いです。持ち家住宅率73.7%、木造住宅の割合69.1%もそれぞれ全国平均を大きく上回ります。