「一条工務店の1マスって、結局どれくらいの大きさだっけ?」

答えは910mm(91cm)です。ただ、この数字だけを持って間取りに戻ると、たいてい次でつまずきます。図面の910mmで家具の幅を測ると、入るはずだったものが入らないからです。

910mmは壁の芯から芯までの距離で、その中に壁の厚みが含まれています。実際に人が通ったり家具を置いたりできるのは壁の内側だけ。しかもその「使える幅(有効幅)」は、壁が両側にあるか・片側だけか・ないかで3通りに変わります。

この記事でまとめたのは、次の3つです。

  • 1マス〜4マスの有効幅を、壁の条件ごとに並べた早見表(図解つき)
  • 冷蔵庫・洗濯機・ベッド・廊下・階段が入るかを、図面段階で判定する手順
  • マス目換算でつまずきやすい注意点(半マス単位・斜めカット不可など)

設計打ち合わせやマイホームクラウドで間取りをいじるとき、手元に置いておくと判断が速くなるメモとして使ってください。

なお筆者(ろれさん)は現在建築中で、まだ入居していません。この記事は「実際に家具を置いてみた感想」ではなく、図面と数字だけで入る・入らないを判断するための計算方法をまとめたものです。

この記事の内容は動画でも解説しています(クリックで再生)


結論:一条の有効幅は「796・853・910」をまず覚える

細かい数字を全部覚える必要はありません。まず1マスの3パターンだけ押さえれば、あとは応用が利きます。

マス数両側壁片側壁壁なし
1マス
796mm
853mm
910mm
1.5マス
1,251mm
1,308mm
1,365mm
2.0マス
1,706mm
1,763mm
1,820mm
2.5マス
2,161mm
2,218mm
2,275mm
3.0マス
2,616mm
2,673mm
2,730mm
3.5マス
3,071mm
3,128mm
3,185mm
4.0マス
3,526mm
3,583mm
3,640mm
数値は内寸(有効横幅)の目安。基準グリッドは910mm。壁1枚で約57mm、両側で約114mm差し引かれる(有効幅 = 910×マス数 − 57×壁の枚数)。最終寸法は図面と設計士の確認を。
壁の条件1マスの有効幅イメージ
両側に壁あり796mm廊下、トイレ、収納の内寸など
片側だけ壁853mm壁に接した通路、オープン棚など
壁なし910mm部屋の中の何もない空間、家具の置き幅

「両側壁なら約80cm、壁なしならフルで91cm」とざっくり覚えておくだけでも、打ち合わせ中の判断がぐっと速くなります。

上の早見表は1マスから4マスまで、0.5マス刻みで全パターンを載せています。マス数7段階 × 壁の条件3通り=21通りあるので、単一の数字を覚えるより表で引いたほうが確実です。


なぜ910mmなのに796mmになるのか

一条工務店に限らず、日本の木造住宅の多くは910mmを基準にしたグリッド(モジュール)で設計されます。この910mmは「壁の芯から芯まで」の距離です。

つまり910mmという数字の中には、壁そのものの厚みが含まれています。実際に人が通ったり家具を置いたりできるのは、その壁の内側のスペースだけ。だから壁の厚みの分だけ、使える幅が削られていきます。

一条工務店の場合、壁1枚で引かれる幅はおよそ57mm。

  • 両側に壁がある → 57mm × 2 = 約114mm 引かれて 796mm
  • 片側だけ壁がある → 57mm 引かれて 853mm
  • 壁がない → そのまま 910mm

910 − 796 = 114、910 − 853 = 57。きれいに壁1枚分ずつ減っているのがわかります。


マスが増えても「壁の引き算」は最初の1回だけ

ここがこの早見表のいちばん使いどころです。

マス数が増えても、壁による差し引き分(両側114mm・片側57mm)が増えるわけではありません。壁はあくまで両端にあるだけなので、引かれるのは1回ぶんで固定。あとは0.5マス=455mmずつ素直に足していけます。

たとえば両側壁の場合は、

  • 1マス … 796mm
  • 1.5マス … 796 + 455 = 1,251mm
  • 2.0マス … 1,251 + 455 = 1,706mm
  • 2.5マス … 1,706 + 455 = 2,161mm
  • 3.0マス … 2,161 + 455 = 2,616mm
  • 3.5マス … 2,616 + 455 = 3,071mm
  • 4.0マス … 3,071 + 455 = 3,526mm

という具合。片側壁・壁なしも、スタートの数字が違うだけで足し方は同じです。

検算もできます。4マスで壁がなければ 910 × 4 = 3,640mm。両側壁ならそこから壁2枚分を引いて 3,640 − 114 = 3,526mm。上の足し算の結果と一致します。つまり公式は次の1本だけです。

有効幅 = 910 × マス数 − 57 × 壁の枚数

これを覚えておけば、早見表に載っていない「5マスは?」「4.5マスは?」も自分で出せます。


【本題】「入るか入らないか」を図面段階で判定する手順

早見表の数字を知っただけでは、間取りの判断はできません。ここからが実際の使いどころです。

判定はいつも同じ4ステップで進みます。

  1. 置きたいものの幅を調べる(家電・家具のカタログ記載の本体幅)
  2. 必要なすき間を足す(放熱・扉の開閉・搬入経路に必要な余裕)
  3. 置き場所の壁の条件を数える(両側に壁があるか、片側だけか、ないか)
  4. 早見表の有効幅と比べる(1と2の合計 < 有効幅 なら入る)

つまずくのは決まって3番です。「1マスあるから910mm使える」と思い込んで、実際は両側壁で796mmしかなかった、というパターン。この差は114mm。冷蔵庫のすき間ぶんがまるごと消える大きさです。

冷蔵庫・洗濯機(両側を挟まれるかが分岐点)

キッチンの冷蔵庫置き場や洗面所の洗濯機置き場は、壁・カウンター・造作で両側を挟まれることが多い場所です。この場合、1マスで使えるのは796mm。

家電は本体幅ぴったりでは置けません。放熱用のすき間や、搬入時に手を入れる余裕が要ります。必要なすき間の大きさは機種ごとに違うので、必ず狙っている機種の取扱説明書やカタログで「設置に必要な幅」を確認してください。そこで出た数値を796mmと比べる、という順番です。

ここで図面の910mmを使ってしまうと、114mm分を過大に見積もったまま間取りを確定させることになります。1マスで足りないと分かったら、1.5マス(両側壁1,251mm)に広げるか、片側の壁をなくして853mmを確保する、という判断に進めます。

通路・廊下の幅

両側を壁に囲まれた廊下は、1マスでも有効幅は796mm。一般的に車椅子が通るには最低でも800mm前後欲しいと言われるので、廊下を1マスで取るとややギリギリ。気になる場合は1.5マス(1,251mm)にする、という判断ができます。

将来の介護や、大きな家具の搬入経路を気にするなら、廊下は最初から1.5マスで検討する価値があります。

収納・クローゼットの中

クローゼットの内寸も両側壁で見ます。「ハンガーパイプの長さは?」「衣装ケースは横にいくつ並ぶ?」を考えるときは、図面の910mmではなく796mmで計算するのが正解です。

2マスのクローゼットなら1,706mm、3マスなら2,616mm。ここに衣装ケースを横に並べるなら、ケースの幅で割って何個入るかを先に出しておくと、収納量が図面段階で見積もれます。

ベッド・ソファの置き幅

ベッドやソファは、壁に寄せるか部屋の中央に置くかで使える幅が変わります。壁にぴったり付ける場所なら片側壁の853mm、部屋の中央で壁に触れないなら910mmフルで使えます。

たとえば2マス分のスペースにベッドを置く場合、部屋の中央なら1,820mm、両側を壁で挟まれたアルコーブ状の場所なら1,706mm。この差114mmで、サイドテーブルが置けるかどうかが変わることがあります。家具のサイズは購入予定の製品の実寸で確認してください。

階段(有効幅の前にマス数の制約がある)

階段は有効幅より先に、必要なマス数の制約を確認する場所です。一条工務店のオープンステアはストレートのみで、最小3マス(1.5畳)の直線スペースが必要というルールがあります。ボックス階段ならL字・コの字に折り返せるので自由度は高くなります。

このあたりの「一条特有の間取り制約」は数が多いので、一条ルール全143個まとめに別途整理しています。


マス目換算でつまずきやすい注意点

有効幅の計算ができても、一条の間取りには先に知っておくべき前提があります。

調整は半マス(455mm)単位

一条工務店の基本単位は910mm×910mmで、壁の調整は半マスの455mm刻みが基本です。「あと10cmだけ広げたい」「15cm動かしたい」という微調整は原則できません。

だから有効幅の計算結果が「あと5cm足りない」となったとき、選択肢は5cm広げることではなく、半マス(455mm)まるごと広げるか、置くものを変えるかの二択になります。この前提を知らないまま計算すると、実現できない案を検討し続けることになります。

なお収納・幅広階段・玄関土間など、一部は45.5cm以下の設定ができる例外もあります。個別の可否は設計士に確認してください。

斜めのカットはできない

グリッドに沿った直線でしか壁を作れないため、部屋の角を斜めに切り落とすような設計はできません。「この角だけ斜めにして通路を広げる」という逃げ方は使えないので、マス数で解決する必要があります。

数値は目安、最終確認は図面で

この記事の壁厚57mmは一条工務店の内壁を前提にした目安です。外壁面や、下がり壁・耐力壁が絡む箇所では条件が変わることがあります。最終的な寸法は必ず自分の図面と設計士の回答で確認してください。早見表は「打ち合わせに持っていく当たり付けの道具」として使うのが正しい使い方です。


間取りを数字で詰めるときに使えるツール

有効幅が出せるようになると、次は「その部屋で暮らせるか」の検討に進みます。ブラウザだけで使える無料ツールをいくつか公開しているので、間取り検討と合わせて使ってみてください。

  • ろれさんの家づくり道具箱 — 日照シミュレーター、ダウンライト照射範囲シミュレーター、間取り図PDFの画像変換・結合など
  • PDF → 画像変換 — 設計士からもらった図面PDFを画像にして、マス目を数えながら書き込みたいときに
  • PDF比較 — 打ち合わせごとに更新される図面の差分を見比べたいときに

まとめ

  • 一条工務店は1辺910mm(91cm)の正方形グリッドで設計する
  • 実際に使える有効幅は壁の有無で変わる:両側壁796mm/片側壁853mm/壁なし910mm
  • 壁1枚で約57mm、両側で約114mm引かれる。公式は「910 × マス数 − 57 × 壁の枚数」
  • マスが増えても壁の引き算は最初の1回だけ。あとは0.5マス=455mmずつ足す
  • 家具・家電は「本体幅+必要なすき間」を有効幅と比べる。図面の910mmで測ると114mm過大に見積もる
  • 足りないときの調整は半マス(455mm)単位。数cmの微調整はできない
  • 斜めのカットはできないので、マス数で解決する

「1マスは910mm」という数字そのものは、覚えるのに5秒もかかりません。難しいのはその先、その910mmのうち何mmが自分の使える幅なのかを、壁の条件ごとに正しく数えることです。この記事の早見表と4ステップの判定手順を打ち合わせに持っていけば、「入ると思っていたのに入らなかった」を図面段階で防げます。

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