東京都なら蓄電池2台が正解?補助金で実質0円になる仕組みを解説
SNSで「営業さんに蓄電池2台を勧められたけど、本当に必要?」という相談をよく見かけます。
前回の記事では「蓄電池はまず1台から」と結論づけました。これは全国的に見れば正しいのですが、東京都に限っては話が変わります。東京都の補助金が桁違いに手厚いため、2台の方がむしろ有利になるケースがあるんです。
30秒でわかるこの記事の結論
東京都に一条工務店で新築する人 → 蓄電池は2台を検討しましょう。理由はシンプルで、東京都の補助金を使えば2台目の追加費用(約72〜79万円)が実質0円になるからです。2026年度に減額された補助金(蓄電容量10万円/kWh)でも十分カバーできます。0円で追加できるなら入れない理由がありません。
なお筆者(ろれさん)は埼玉県で建築中で、東京都の補助金は自分では使えません。この記事は東京都で建てる方に向けて、公式資料を読み込んで整理した解説です。実際に補助金を申請した体験談ではない点をご了承ください。
逆に、東京都以外の人は補助金が薄いので1台で十分です。前回の記事を参考にしてください。
ただし、太陽光の容量や家族構成によって最適解は変わります。必ず営業さんに自分の条件でシミュレーション(発電量・消費量・補助金込みの回収年数)を出してもらった上で判断してください。
この記事の内容は動画でも解説しています(クリックで再生)
以下、なぜそう言えるのかを数字で詳しく解説していきます。
東京都の蓄電池補助金はなぜ桁違いなのか
まず全国の補助金と東京都を比較します。
| 補助金 | 蓄電池への補助額 |
|---|---|
| 国のDR補助金 | 上限60万円(予算到達で終了) |
| 埼玉県 | 10万円/件 |
| 一般的な自治体 | 5〜20万円程度 |
| 東京都(蓄電池導入促進事業) | 10万円/kWh ※2026年度 |
東京都だけ単位が違います。「件あたり」ではなく「kWhあたり」なので、容量が大きいほど補助額が増えます。詳細はクール・ネット東京の蓄電池導入促進事業ページ(令和8年度)で確認できます。
上限120万円は「DR実証に参加しない場合」の条件
ここは誤解しやすいポイントなので先に整理します。2026年度(令和8年度)の要件は、公式の申請の手引きで次のように定められています。
・蓄電容量:10 万円/kWh(助成対象経費(税抜)が上限)
(DR 実証に参加しない場合は、上限 120 万円/戸)
つまり120万円という上限は、DR実証(デマンドレスポンス実証)に参加しない場合に掛かるものです。DR実証に参加すれば、この戸あたり上限そのものが外れます。手引きにも、DR実証の要件を満たさなくなった場合には「DR実証参加により増額等された分(助成金額の上限設定の解除を含む)の助成金の返還を求める場合があります」と書かれており、参加によって上限設定が解除される建て付けであることが確認できます。
ただし上限が外れても、助成額は「助成対象経費(税抜)」を超えては交付されません。手引きでは対象経費と算定額の両方を計算し、「1 と 2 を比較し、どちらか小さい方を助成金額とします」と定められています。要するに、実際にかかった費用以上には出ないということです。
(出典: 令和8年度 家庭における蓄電池導入促進事業/令和8年度 助成金申請の手引き)
蓄電池2台(14.08kWh)の補助金シミュレーション
これから契約する方は引き渡しが半年後(2026年秋頃)になるため、2026年度の補助金が適用されます。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 蓄電池補助(10万円 × 14.08kWh) | 約140.8万円 |
| DR実証参加の加算 | 10万円 |
| DR参加に必要な機器を設置する場合の加算 | 1台あたり5万円 |
| 補助金合計(DR参加・機器設置なしの場合) | 約150.8万円 |
DR実証に参加する場合の加算は、公式の手引きでは「デマンドレスポンス実証(DR実証)に参加する:10万円の加算」に加えて「DR実証の参加に必要なエネルギーマネジメント機器及び IoT 関連機器を設置する:1 台当たり 5 万円の加算」と定められています。ただし端末レスDRサービスを使う場合や、必要な機器が蓄電池パッケージに含まれている場合は5万円の加算対象にならず「10万円の加算のみ」となります。一条工務店の蓄電池パッケージで契約する場合はこちらに該当する可能性が高いので、営業さんに確認してください。
なお、ここで計算した金額はあくまで算定上の上限です。前述のとおり助成額は助成対象経費(税抜)が上限なので、実際に受け取れる額は蓄電池の税抜価格までに収まります。
2台目の追加費用は約72〜79万円なので、補助金の枠内で十分カバーできる計算です。1台分の実質コスト(約25万円)も含めて考えると、蓄電池2台の費用は丸ごと補助金で相殺される可能性があります。
※上の試算は、蓄電池2台を新築時に「蓄電池パッケージ(蓄電池システム)」として同時に設置する前提です。既設の蓄電池に後からユニットを増設する場合は別区分で、単価は「蓄電容量:6 万円/kWh」(DR実証に参加しない場合は上限72万円/戸)と低くなります。2台にするなら新築時にまとめて入れる方が有利ということです。
さらに東京ゼロエミ住宅普及促進事業(令和8年度)に該当する場合は、住宅本体で最大240万円/戸(戸建住宅・水準A)の助成が別途出ます。太陽光発電設備も助成対象で、オール電化住宅の場合は3.6kWまでが13万円/kW(上限39万円)、3.6kW超50kW未満が11万円/kWと定められています。蓄電池だけでなく家全体で数百万円規模の補助を受けられる可能性があります。
なお、蓄電池に関してはゼロエミ住宅の蓄電池助成(10万円/kWh、上限120万円/戸)と蓄電池導入促進事業の併用はできません。蓄電池導入促進事業の手引きにも「助成対象について東京都出資の他の補助金・助成金を受けている場合は併給できません」と明記されています。どちらか有利な方を選ぶ形になります。
同一の蓄電池について二重に受け取れないという意味なので、住宅本体や太陽光の助成はゼロエミ住宅で、蓄電池の助成は蓄電池導入促進事業で、という組み合わせが取れるかどうかは制度の運用次第です。ここは金額が大きい部分なので、申請前にクール・ネット東京のヘルプデスクに自分の条件で直接確認することをおすすめします。
参考 - 2025年度に間に合う場合はさらにお得
| 年度 | 補助単価 | 上限 |
|---|---|---|
| 2025年度(令和7年度) | 12万円/kWh | 助成対象経費(税抜)まで |
| 2026年度(令和8年度) | 10万円/kWh | 助成対象経費(税抜)まで(DR実証に参加しない場合は120万円/戸) |
2025年度(令和7年度)の条件が適用される方は、単価が12万円/kWhと2万円分高くなります。14.08kWhなら約169万円 + DR実証参加の加算10万円 = 約179万円という算定になり、2026年度よりさらに有利です。
ただしこちらも助成対象経費(税抜)が上限で、令和7年度のページには「購入金額を超える場合を除く」と明記されています。単価が高くても、蓄電池の税抜価格を超える額は出ません。どの年度の条件が適用されるかは事前申込の時期などで決まるため、自分のケースがどちらになるかは必ずクール・ネット東京に確認してください。
蓄電池1台 vs 2台 - 費用対効果を数字で比較
一条工務店の蓄電池(EIBS7)を前提に、1台と2台の費用対効果を比較します。
初期費用と補助金
| 項目 | 1台(7.04kWh) | 2台(14.08kWh) |
|---|---|---|
| 新築パッケージでの実質コスト | 約25万円 | 約50万円 |
| 東京都の助成金の算定額(10万円/kWh、2026年度) | 約70.4万円 | 約140.8万円 |
| DR実証参加の加算 | 10万円 | 10万円 |
| 算定額の合計 | 約80.4万円 | 約150.8万円 |
| 実質負担 | 算定額が費用を上回る | 算定額が費用を上回る |
ここで重要なのは、補助金は助成対象経費(税抜)が上限だという点です。算定額が費用を上回っていても、差額を受け取れるわけではありません。実際に交付されるのは蓄電池の税抜費用までで、儲けは出ない仕組みです。
言い換えると、1台でも2台でも算定額が費用を上回るため、自己負担はほぼ0円になる計算になります。負担がほぼ変わらないのであれば、容量が2倍になる2台の方を選ぶ判断はしやすいと言えます。
ただし上の実質コスト(1台約25万円、2台約50万円)は、一条工務店の新築パッケージでの目安として紹介されている金額です。価格は契約時期・キャンペーン・仕様によって変わるため、必ず自分の見積書の金額で計算し直してください。
年間の電気代比較
公開されている施主の実績データから、蓄電池2台の場合にどこまで電気代が下がるのかを見てみます。
蓄電池2台の施主(太陽光13.475kW、関東、30坪)で、年間電気代が約9,000円(月平均約770円)、電力自給率97.82%という2025年の実績が公開されています(ひつじノートより)。売電収入が約13.5万円あるので、光熱費トータルではプラス約12.5万円。電気代を払うどころかお金が増えている状態です。
ただしこれは特定の施主1軒の実績値です。太陽光13.475kWという大容量の搭載量、関東という日射条件、30坪という延床面積、そして家族構成や在宅時間といった条件が揃った結果の数字であり、条件が違えば結果は大きく変わります。「2台にすればこの数字になる」と読まないでください。
とくに太陽光の搭載量は結果を左右します。13kW超は一条工務店でもかなり大きい方なので、搭載量が半分程度の家では同じ自給率にはなりません。自分の条件での数字は、後述のとおり営業さんにシミュレーションを出してもらうのが確実です。
なお、1台の場合と2台の場合を同じ条件で比較した公開データは見つけられませんでした。条件が違う家の数字を並べても比較にならないため、ここでは実績が確認できた2台のケースのみを紹介しています。
なぜ2台で電気代がここまで下がるのか
1台(7kWh)は夜間消費にちょうどいいサイズですが、夏と冬にエアコンや床暖房を24時間稼働すると深夜〜早朝に電力が尽きます。結果として割高な買電が発生します。
2台(14kWh)なら夜間〜翌朝まで余裕を持ってカバーでき、買電を大きく減らせます。前述の施主(太陽光13.475kW)の実績では、年間の買電量が134kWhまで減ったと公開されています。こちらも同じ1軒の実績値なので、太陽光の搭載量や生活スタイルが違えば同じようにはならない点にご注意ください。
蓄電池2台が有利な人・不要な人
2台が全員に最適というわけではありません。条件を整理します。
2台が有利なケース
- 東京都の補助金を使える(実質0円になるなら入れない理由がない)
- 太陽光パネルが10kW以上ある(余剰発電で2台分の充電が可能)
- 冬に全館床暖房を24時間稼働する(一条工務店の標準的な使い方)
- 共働きで昼間不在、夜間に消費が集中する
- 災害時の電力確保を重視する
2台が不要なケース
- 東京都以外で大きな補助金がない(コスト回収が厳しい)
- 太陽光が10kW未満(2台分を充電しきれない日が増える)
- 日射条件が悪い(北向き、周囲の建物の影など)
東京都以外にお住まいの方は、まずは前回の記事で解説した「蓄電池1台」の戦略をおすすめします。
蓄電池2台の劣化は? - 実はむしろ長持ちする
「2台にしたら劣化が早くなるのでは?」と思うかもしれませんが、実は逆です。
理屈はシンプルで、2台あれば同じ電力量を使っても1台あたりの充放電回数が半分に分散されるため、電池1台にかかる負担が軽くなります。
実績として、ある施主の公開データでは3年経過時点で残存率99%という結果が出ており、メーカー保証の水準(15年で60%以上)を大幅に上回っています。
一方で「2台なら年間劣化率が何%になる」といった数字は見当たりませんでした。3年分の実測値から15年後の残存率を割り出すような計算は、劣化が一定のペースで進むと仮定した単純な引き延ばしにすぎず、根拠として弱いので避けています。
確実に言えるのは、メーカーが保証しているのは「15年で60%以上」という水準であること、そして2台運用の方が1台あたりの充放電回数が分散されるという構造上の理屈です。劣化を心配して2台をやめる必要はない、という判断材料としては十分でしょう。
EIBS7のスペック(充放電12,000回、実効使用率95%)については前回の記事で詳しく解説しています。
営業トークに流されないための3つのチェックポイント
「安いから2台つけた方がいいですよ」と言われても、それだけでは判断できません。営業さんに以下の3つを必ず数字で出してもらいましょう。
1. 発電量と消費量のシミュレーション
自分の家に載る太陽光パネルの容量で、年間どれだけ発電し、どれだけ消費するのか。これがないと蓄電池が1台で足りるのか2台必要なのか判断できません。
2. 補助金込みの実質コスト
蓄電池の本体価格だけでなく、東京都の補助金(蓄電容量10万円/kWh + DR実証参加の加算)を差し引いた実質負担額を出してもらいましょう。助成対象経費(税抜)が上限になる点も踏まえた金額かどうかを確認してください。自治体の補助金を把握していない営業さんもいるので、東京都環境局の助成制度ページで自分でも確認するのが安心です。
3. 投資回収年数のシミュレーション
補助金を含めた実質コストに対して、電気代削減+売電収入で何年で回収できるのか。蓄電池1台と2台のそれぞれで比較してもらうのがベストです。
「安い」「お得」という定性的な言葉ではなく、数字で説明できる営業さんかどうか。これは蓄電池に限らず、ハウスメーカー選びの大事な判断基準です。
まとめ - まずは営業さんにシミュレーションを出してもらおう
改めてポイントを整理します。
- 東京都の蓄電池補助金は2026年度でも蓄電容量10万円/kWh。14.08kWhならDR実証参加の加算と合わせて約150万円の算定
- 上限120万円は「DR実証に参加しない場合」の条件。参加すればこの戸あたり上限は外れる(ただし助成対象経費が上限)
- 一条工務店の2台目追加費用は約72〜79万円 → 補助金の枠内に収まり実質0円になる計算
- 蓄電池2台の施主実績では年間電気代約9,000円、自給率97%超。ただし太陽光13.475kWの1軒の実績で条件依存
- 劣化は2台の方が1台あたりの充放電回数が分散される。メーカー保証は15年で60%以上
東京都に一条工務店で新築するなら、蓄電池2台は十分に検討する価値があります。
ただし、太陽光の搭載量や家族構成、生活スタイルによって最適解は変わります。「安いからつけましょう」ではなく、営業さんに自分の条件に合わせたシミュレーション(発電量、消費量、補助金込みの実質コスト、回収年数)を出してもらった上で判断してください。数字で納得してから決めるのが、後悔しない家づくりの鉄則です。
太陽光パネルと蓄電池の基本的な考え方は、こちらの動画で詳しく解説しています。
この記事の内容は動画でも解説しています(クリックで再生)
参考情報(外部リンク)
- 令和8年度 家庭における蓄電池導入促進事業(クール・ネット東京)
- 令和7年度 家庭における蓄電池導入促進事業(クール・ネット東京)
- 令和8年度 東京ゼロエミ住宅普及促進事業(クール・ネット東京)
- 東京ゼロエミッション住宅 助成制度(東京都環境局)
- 太陽光発電・蓄電池システム(一条工務店公式)
※補助金の金額・条件は年度によって変更されます。申請前に必ず最新情報をご確認ください。
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よくある質問
- 東京都で一条工務店を建てるなら蓄電池は何台がいい?
- 東京都なら蓄電池2台を検討する価値があります。東京都の補助金は2026年度でも蓄電容量10万円/kWhと桁違いに手厚く、14.08kWhならDR実証参加の加算10万円と合わせて約150万円の算定になるため、2台目の追加費用(約72〜79万円)が実質0円になります。ただし助成額は助成対象経費(税抜)が上限で、費用を超える分は交付されません。東京都以外は補助金が薄いため1台で十分です。
- 蓄電池を2台にすると電気代はどのくらい下がる?
- 太陽光13.475kW・蓄電池2台の施主では年間電気代が約9,000円、電力自給率97.82%という実績が公開されています。ただしこれは特定の1軒の実績値で、太陽光の搭載量や日射条件、家族構成が違えば結果は変わります。自分の条件での数字は営業さんにシミュレーションを出してもらってください。
- 蓄電池を2台にすると劣化は早まりますか?
- 2台の方が1台あたりの充放電回数が分散されるため、構造上は電池1台あたりの負担が軽くなります。ある施主の公開データでは3年経過時点で残存率99%と、メーカー保証の水準(15年で60%以上)を大幅に上回っています。台数別の年間劣化率を示すデータは見当たりませんでした。