「ハウスメーカー8月受注、増加は4社に減少」。新建ハウジングがこんな見出しで、大手ハウスメーカーの8月の受注を報じました。

一条工務店で家を建てている人なら、こういう記事で「一条はどうだったんだろう」と探したことがあると思います。でも、毎月の受注速報に一条工務店の名前は出てきません。戸建ての棟数では業界トップクラスと言われる会社なのに、なぜでしょうか。

この記事では、一条工務店で建築中の施主(ろれさん)のブログとして、「大手ハウスメーカー」がどう決まっているのかと、一条工務店の実際の規模を整理します。


結論:大手に入らないのは「規模」ではなく「数字を出していない」から

一条工務店が大手ハウスメーカーの集計に出てこない理由の表。大手の定義は法律や業界で決まった公式の定義はない。集計に出ない理由は非上場で毎月の受注や決算説明資料を公表していないこと。業界団体のプレハブ建築協会では賛助会員で正会員ではない。実際の規模は2024年の注文住宅の販売18,631棟でギネス世界記録
見るところ一条工務店の場合
「大手」の定義法律や業界で決まった公式の定義はない
受注速報・ランキングに出ない理由非上場で、毎月の受注や決算説明資料を公表していない
業界団体(プレハブ建築協会)正会員ではなく賛助会員
実際の規模2024年の注文住宅の販売18,631棟(ギネス世界記録)

ニュースで「大手」と呼ばれる顔ぶれは、各社が公表した数字を新聞社が集めた結果です。一条工務店はその数字を出していないので、表に入る機会がありません。会社の大きさで線を引いた結果ではない、というのが答えです。


年間の棟数で比べると、一条工務店は大手の2倍以上

年間の棟数の比較グラフ。一条工務店18,631棟(ギネス世界記録の認定、2024年1〜12月の注文住宅の販売)、積水ハウス7,891戸(戸建住宅請負・国内、2025年度IR資料)、住友林業7,772棟(国内単体 戸建注文住宅引渡、2025年12月期IR資料)、タマホーム5,176棟(注文住宅引渡、2026年5月期IR資料)。数え方や期間が各社で違う参考比較

「大手に入っていない」と聞くと、規模が小さいように感じますよね。実際は逆です。

会社年間の棟数数え方・期間
一条工務店18,631棟注文住宅の販売(2024年1〜12月、ギネス世界記録)
積水ハウス7,891戸戸建住宅の請負・国内(2025年度)
住友林業7,772棟国内単体の戸建注文住宅の引渡(2025年12月期)
タマホーム5,176棟注文住宅の引渡(2026年5月期)

一条工務店の数字は、ギネス世界記録が「最も売れている注文住宅会社」として認定したものです。独立した調査会社の検証を経た数字なので、会社の自己申告より確かです。

ほかの3社は各社のIR資料の数字です。販売・請負・引渡と数え方も期間も違うので、ぴったり同じ条件の比較ではありません。また、一条工務店の18,631棟は、海外(米国・フィリピン)の分を含むかどうかが明示されていません。それでも、2倍以上という差は数え方の違いだけでは埋まらない大きさです。

売上高も、公式サイトの会社概要で約6,251億円(グループ含む、2026年3月期)と公開されています。


「大手」を決めている3つの物差し

ニュースの大手を決めている3つの物差しの表。毎月の受注速報は各社が公表した月次の受注を新聞社がまとめるもので、一条工務店は月次の受注を公表していない。年度の販売戸数ランキングは決算説明資料・ファクトブック・各社への取材で集計するもので、一条工務店は非上場で決算説明資料がない。業界団体のプレハブ建築協会は年300戸以上などの基準と正会員2社の推薦で正会員になり、一条工務店は賛助会員で正会員ではない

では、ニュースの「大手」はどう決まっているのでしょうか。実際には、次の3つのどれかで線が引かれています。

物差しどうやって選ばれるか一条工務店
毎月の受注速報各社が公表した月次の受注を新聞社がまとめる月次の受注を公表していない
年度の販売戸数ランキング決算説明資料・ファクトブック・各社への取材で集計非上場で決算説明資料がない
業界団体(プレハブ建築協会)年300戸以上などの基準と、正会員2社の推薦で正会員になる賛助会員(正会員ではない)

どの物差しも、会社の規模そのものを測っているわけではありません。上の2つは「公表された数字があるか」、3つ目は「協会の正会員になっているか」で決まります。一条工務店はどれにも当てはまらないので、規模が大きくても「大手」の表には出てきません。

ここからは、それぞれの物差しを1つずつ見ていきます。

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毎月の受注速報:8月は大手11社のうち4社が増加

2026年8月の受注速報の図。大手11社の8月受注で前年同月より増えたのは4社。住友林業は7%増で15カ月連続のプラス、積水ハウスは2%増で4カ月連続のプラス、旭化成ホームズとヒノキヤグループも増加。一条工務店は月次の受注を公表していないので速報の集計には載らず、9月の契約件数も外からは分からない

きっかけになったニュースから見ていきます。住宅産業新聞の8月の受注速報は、大手ハウスメーカー11社が対象でした。前年同月より受注が増えたのは次の4社です。

会社8月の受注
住友林業7%増。15カ月連続のプラス
積水ハウス2%増。4カ月連続のプラス
旭化成ホームズ増加
ヒノキヤグループ増加

この速報は、各社が毎月公表している受注の数字を新聞社が集めたものです。上場している大手の多くは、投資家向けに月次の受注を出しています。

一条工務店は株式を上場しておらず、月次の受注を公表していません。数字がないので、速報には載りようがないんです。9月の契約件数がどうだったのか気になる人もいると思いますが、外から確かめる方法はありません。


年度の販売戸数ランキング:決算説明資料から集計される

2025年度の大手ハウスメーカー販売戸数ランキングの対象10社。大和ハウス工業、積水ハウス、積水化学工業、旭化成ホームズ、住友林業、パナソニック ホームズ、ミサワホーム、トヨタホーム、ヤマダホームズ、三井ホーム。10社合計は総販売11万5,391戸、戸建て4万7,443戸。集計のもとは決算説明資料・ファクトブック・各社への取材で、一条工務店は非上場で決算説明資料を出していないため入らない

もう1つよく見るのが、住宅産業新聞が年に1回まとめる大手ハウスメーカーの販売戸数ランキングです。2026年6月30日号に載った2025年度版は、次の10社が対象でした。

  • 大和ハウス工業
  • 積水ハウス
  • 積水化学工業(住宅カンパニー)
  • 旭化成ホームズ
  • 住友林業
  • パナソニック ホームズ
  • ミサワホーム
  • トヨタホーム
  • ヤマダホームズ
  • 三井ホーム

10社合計の総販売戸数は11万5,391戸(前年度比3.9%減)、そのうち戸建ては4万7,443戸(同4.7%減)でした。

このランキングは、各社の決算説明資料やファクトブック、個別の取材をもとに集計されています。一条工務店は非上場で決算説明資料を出していないので、この表にも入りません。


業界団体:一条工務店はプレハブ建築協会の「賛助会員」

プレハブ建築協会での一条工務店の区分。正会員は30社で、住宅なら年300戸以上の供給(または年延べ床3万平方メートル以上)と正会員2社の推薦が要件。積水ハウス、大和ハウス工業、旭化成ホームズ、積水化学工業、パナソニック ホームズ、トヨタホーム、ミサワホーム、ヒノキヤグループなど。賛助会員は112社で、協会の趣旨に賛同する法人や団体。一条工務店は賛助会員。ほかに準会員が72社

3つ目の物差しが業界団体です。工場で部材をつくる住宅の業界団体に、プレハブ建築協会があります。

協会の会員一覧(2026年10月1日現在)は、正会員30社、準会員72社、賛助会員112社に分かれています。

区分社数要件主な会社
正会員30社住宅なら年300戸以上(または年延べ床3万m²以上)の供給と、正会員2社の推薦積水ハウス、大和ハウス工業、旭化成ホームズ、積水化学工業、パナソニック ホームズ、トヨタホーム、ミサワホーム、ヒノキヤグループなど
準会員72社――
賛助会員112社協会の趣旨に賛同する法人や団体(数値の基準はない)一条工務店

一条工務店の規模なら、正会員の「年300戸以上」という基準は大きく超えています。それでも区分は賛助会員です。ニュースで「大手」としてよく名前が出る会社の多くがこの協会の正会員なので、ここでも一条工務店は「大手の輪」の外に見えることになります。


施主にとっては「数字を自分で確かめにくい」という意味がある

「大手に入っていない」こと自体は、ランキングの作り方の話です。ただ、施主の立場で1つ覚えておきたいのは、非上場なので外から見える数字が少ないことです。

上場している会社なら、受注の増減や財務の健全性を決算資料で誰でも確かめられます。一条工務店で公開されているのは、売上高・従業員数といった会社概要と、ギネス世界記録のような第三者の認定が中心です。

一条工務店の経営や財務について公開情報から分かることは、一条工務店は倒産する?経営状況と施主を守る制度と、縮小する市場でハウスメーカーをどう選ぶかにまとめています。


【詳細】一条工務店の「業界第1位」の掲示と、数字の定義の違い

ここからは、数字の出どころが気になる人向けの細かい話です。

公式サイトの「第1位 戸建住宅販売戸数」

一条工務店の公式サイト(企業情報)には、「第1位 戸建住宅販売戸数」という掲示があります。出典は「住宅産業新聞(2026年6月30日)」で、「大手住宅メーカー『販売戸数』比較」というグラフ画像が添えられています。

一方、同じ6月30日号に載った2025年度の販売戸数ランキング(上で紹介した10社)に、一条工務店は入っていません。公式サイトの掲示がどの会社とどの条件で比べたものかは、掲示からは読み取れません。この記事では、一条工務店の規模はギネス世界記録の数字で示しています。

ランキングの対象社数は年度で変わる

住宅産業新聞の販売戸数ランキングは、2024年度版が11社、2025年度版が10社でした。違いは、プライム ライフ テクノロジーズ(パナソニック ホームズ、トヨタホーム、ミサワホームの親会社)の扱いです。2024年度版は親会社も1行として並べ、2025年度版は子会社3社の形で載せています。「大手〇社」の〇の数は、集計する側の整理で変わるものなんですね。

受注・販売・引渡・着工は別の数字

ハウスメーカーの「棟数」には、いくつか種類があります。

数字数えるタイミング
受注(契約)お客さんと契約したとき
着工工事を始めたとき
引渡家を引き渡したとき
販売会社によって定義が違う

受注速報は契約の金額や件数の増減を見るもので、販売戸数ランキングとは別の数字です。ギネス世界記録の18,631棟は「販売」の数字で、着工の数字とは混ぜられません。記事やSNSで棟数を比べるときは、どの数字同士を比べているかを確かめると、数字に振り回されにくくなります。


まとめ

  • 「大手ハウスメーカー」に法律や業界の公式な定義はない
  • 毎月の受注速報も年度の販売戸数ランキングも、各社が公表した数字を集めたもの。非上場の一条工務店は数字を出していないので載らない
  • 業界団体のプレハブ建築協会では、一条工務店は正会員ではなく賛助会員
  • 規模で見ると、2024年の注文住宅の販売は18,631棟(ギネス世界記録)。大手各社の戸建て棟数の2倍以上
  • 施主にとっては、受注の推移や財務を外から確かめにくい、という点は知っておきたい

一条工務店が「大手」の表に出てこないのは、ランキングの作り方の問題です。会社の大きさの問題ではありません。

一条工務店で建てることを考えているなら、紹介制度を使うと特典を受けられます。条件やタイミングは紹介制度の解説ページにまとめています。

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参考にした一次情報