一条工務店の太陽光はなぜ13.475kW?最大に載せる屋根設計の話【ダミーパネル・軒・傾斜角】
一条工務店で太陽光を載せるとき、「最大まで載せればいいんでしょ」と思っていませんか。私(ろれさん)も最初はそう考えていました。でも実際に設計を進めると、屋根の形・軒の出・ダミーパネルまで関わってきて、「最大に載せる」その先にもうひと工夫が必要だとわかりました。
この記事では、一条の上限13.475kWはなぜそこなのか、ダミーパネルや軒で増える費用、ダミーを減らす「軒ずらし」、発電を上げる傾斜角、そして「影で発電が落ちる」噂の真実まで、私が打ち合わせで実際に判断したことを交えて解説します。私はまだ建築中(未入居)なので、実発電量や使用感ではなく「設計・図面・仕様選びの判断」の話としてお読みください。
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結論: 最大に載せつつ、軒と日射まで設計するのがコツ
先に要点をまとめます。
- 太陽光は屋根に載る最大を目指すのが基本。上限の目安は13.475kW
- ただし実際に載る量は屋根の形と大きさで変わる(全棟同じではない)
- 屋根を埋めきれない部分はダミーパネルで仕上げる。軒を伸ばすほどダミーが増えて費用がかかる
- いらない方向の軒を削って必要な方に屋根芯をずらす「軒ずらし」でダミーを節約できる
- 発電量は屋根の傾斜角でも変わる(30度前後が有利)。ただし向きの影響の方が大きい
- 部分影で「全部止まる」のは半分昔の話。今は波及損失を抑えられるが、影った分はゼロにはならない
費用対効果(回収年数の考え方や蓄電池の選び方)は別記事の太陽光13.475kW + 蓄電池7kWhはなぜ最適かで扱っています。この記事は「積載量 × 屋根設計」に絞って解説します。
なぜ13.475kWが上限なのか(事実と推測を分けて)
一条の太陽光は、屋根いっぱいに載せた場合の上限の目安が13.475kWです。屋根が広ければ理論上はもっと載りますが、一条は本物のパネルを13.475kWで打ち止めにし、余った屋根は発電しないダミーパネルで埋める設計になっています。
ここは事実と推測を分けて理解しておくのが大事です。
| 内容 | |
|---|---|
| 事実 | 住宅用として売電するには、パネルとパワコンの小さい方を10kW未満に抑える必要がある |
| 推測 | パワコンを抑えている以上、本物パネルを載せすぎても活かしきれない。だから効率よく使える目一杯が13.475kWだと考えると腑に落ちる |
13.475kWという数字がちょうどそこになる正確な理由は公表されていません。なので「効率のいい目一杯」というのはあくまで推測です。確実に言えるのは「住宅用=小さい方が10kW未満」という条件のほうです。
載せすぎても無駄にならないの?
パワコンの上限に当たるのは、晴れた真昼のピークだけです。曇りの日や朝夕はそもそも出力がぐっと落ちます。多めに載せておくと、そういう日でも上限近くまで発電できるので、悪い日を底上げできるという考え方です。
全棟が必ず13.475kWになるわけではない
ここは誤解されやすいポイントです。13.475kWはあくまで上限の目安で、全棟が必ずこの容量になるわけではありません。実際に載る量は屋根の形と大きさで変わります。一条の公式サイトでは、平均搭載容量は12.02kW(2024年度実績)と公表されています(出典: 一条工務店 大容量太陽光発電 & 長寿命蓄電池)。上限より少し下が実際の平均、という感覚です。
私の家も、最初の切妻屋根の案だと11kWしか載りませんでした。ただ切妻屋根がダメということではありません。たまたまこの家のサイズだとそうなっただけで、大きい家なら切妻でも最大まで載ることもあります。私は片流れ屋根に変更して13.475kWを確保しました。
最大限載せたいなら、設計士さんと屋根の形にこだわるのがおすすめです。容量が大きいほど1kWあたりの単価は安くなりますし、屋根一体型は後から足せないので、設計段階で決め切るのが大事です。
軒を伸ばすと「ダミーパネル」が要る
ダミーパネルは、発電しない、屋根を埋めるためのパネルです。一条の屋根はパネルで屋根面を作っているので、本物で埋まらない部分をダミーで仕上げます。
ダミーパネル実物写真の出典: Slow-Trip
写真の左がダミー、右が発電する本物です。遠目には本物そっくりに作られていて、言われないと気づきません。
そして軒を伸ばすと屋根の面積が増えます。増えた分はパネルかダミーで埋めるのが一条のルールなので、軒を伸ばすほどダミーが増える仕組みです。
ろれさん家の見積り
私の契約時の見積りでは、こうなっていました。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 屋根特殊施工(ダミーパネル) | 2万5800円 |
| 軒の出変更(750mmまで・オリジナル太陽光限定) | 1万1000円 |
| 合計 | 3万6800円 |
太陽光の屋根は750mmまで軒を延ばせるオプションになっています。合わせて3万6800円。これは私の契約時の見積りなので、金額は契約時期や仕様によって変わります。
なぜそこまでお金をかけたのか
軒を深くして、夏の日差しを遮りたかったからです。夏の日射遮蔽と冬の日射取得は軒で決まるので、ここは逃せないと判断して採用しました。詳しい仕組みは後半の「軒と日射のパッシブ設計」で解説します。
ダミーパネルを減らす「軒ずらし」
南の軒を伸ばすとダミーパネルも増えてしまう——これを抑えるのが、**屋根の芯をずらす「軒ずらし」**です。
私の家は、北側の下に窓がありません。北の面はもう一つの屋根との段差になっていて、壁ではなく屋根どうしの境目だから窓がないんです。だから北の軒を削っても誰も困りません。
そこで削った分を南に回して、南の軒を長くしました。屋根の芯をずらすこと自体は追加費用なしでできます。南を伸ばすと北の軒は短くなりますが、北はもともと要らないのでちょうどいいわけです。この工夫で、ダミーを増やさずに南の軒を稼げました。
雨どいも日射遮蔽に効く
もう一つ、日射の計算では雨どいも忘れてはいけません。
軒の先から雨どいが210mm前に出ています。私の図面では軒の705mmと足して915mm分が日陰を作る計算になります。季節ごとの日射シミュレーションをするなら、軒だけでなく雨どいの分も足した915mmで計算すると、意図した通りの日射遮蔽・日射取得に近づきます。なお寸法は私の図面ベースなので、家ごとに変わります。
発電量を上げる屋根の傾斜角
屋根の傾きでも発電は変わります。屋根の傾きは「寸」で表し、数字が大きいほど急になります。
| 傾き | 角度 | 発電 |
|---|---|---|
| 1.5寸 | 約8.5度(ゆるい) | 少なめ |
| 3.5寸 | 約19.3度 | 多め |
| (最適) | 約30度前後 | 発電が一番いいとされる角度 |
発電が一番いいのはだいたい30度前後とされているので、30度に近い3.5寸の方が発電は多くなります。私は発電の大きい3.5寸を選びました。
ただし3.5寸は屋根が高くなって素材が増えるぶん、コストが上がります。勾配変更はグランスマートなら無料ですが、アイスマートなどは有料になる場合があるので、営業さんに確認してください。
なお角度の数値は寸から換算したもの(1.5寸 = arctan(1.5/10) ≈ 8.5度、3.5寸 ≈ 19.3度)です。最適傾斜角が30度前後という話や、傾斜角による差が数パーセント程度という感覚は一般に言われている水準で、一条が自社パネルについて公表している数値ではありません。自分の屋根での発電量は、勾配と向きを入れたシミュレーションを営業担当に出してもらうのが確実です。
いずれにしても、傾斜角より屋根が南向きかどうかの影響の方が大きいです。角度に神経質になるより、まず向きを優先しましょう。
軒と日射のパッシブ設計
ここで、軒で日射が変わる仕組みをおさらいします。なぜ私が3万6800円かけてまで軒を深くしたのか、その理由がここにあります。
仕組みはこうです。夏と冬で太陽の高さが全然違います。埼玉だと、夏至の南中高度は真上に近い約77度、冬至は低くて約31度まで下がります(緯度から算出。日々の正確な数値は国立天文台の暦計算室で自分の建築地の値を確認できます)。
- 高い夏の日差しは、軒がしっかり遮ってくれる(日射遮蔽)
- 低い冬の日差しは、軒の下をくぐって奥まで届く(日射取得)
つまり夏は日陰、冬は日なたを、軒が切り替えてくれるわけです。特に南の窓に効くので、南の軒は大事です。軒の出の目安は90cm〜1mくらい。
ひとつ注意点として、暑さのピークは夏至ではなく8月後半です。その頃は太陽が少し低いので、長めの軒が効きます。だからといって長すぎると冬の日差しまで減ってしまうので、日射取得と日射遮蔽のバランスで長さを決めるのがポイントです。
「影で発電は落ちる」の真実
「影が当たると一気に発電が落ちる」という話、これは半分本当で半分は昔の話です。
パネルの中のセルは直列でつながっています。直列だと一番弱いセルに全体が引きずられるため、昔はこれで影と関係ない部分まで大きく落ちていました。電球が1個切れると全部消える、みたいなイメージです。
今はこれを抑える技術が進んでいて、影の部分を迂回して波及を抑える仕組みになっています。ただし誤解しないでほしいのは、影になった部分のぶんはちゃんと減るということ。全体を巻き込む大きな損失が起きにくくなっただけで、ゼロになるわけではありません。一条のパネルも新しい世代ですが、細かい仕様は担当者に確認してください。
まとめ
最後に、太陽光の積載量と屋根設計のポイントをまとめます。
- 太陽光は屋根に載る最大を目指すのが基本。上限の目安は13.475kW
- ただし積載量は屋根の形と傾きで変わる(全棟同じではない)
- 軒を伸ばすとダミーパネルで費用が増える。ろれさんは3万6800円かけて軒と日射を取りにいった
- いらない方向の軒を削る「軒ずらし」でダミーを節約できる
- 積載量と軒の日射、両方をセットで考えるのがコツ
屋根って、調べてみると本当に奥が深いです。太陽光の費用対効果(回収年数の考え方・蓄電池の選び方)が気になる方は、太陽光13.475kW + 蓄電池7kWhはなぜ最適かもあわせてどうぞ。
これから一条工務店で建てる方は、紹介制度を使うとお得になる場合があります。屋根や太陽光の設計は契約後の打ち合わせで詰めていく部分なので、早めに情報を集めておくと判断がスムーズです。
よくある質問
- 一条工務店の太陽光は最大で何kW載りますか?
- 屋根いっぱいに載せた場合の上限の目安が13.475kWです。ただし全棟が必ずこの容量になるわけではなく、実際に載る量は屋根の形と大きさで変わります。一条の公式サイトでは平均搭載容量は12.02kW(2024年度実績)と公表されています。
- なぜ13.475kWで打ち止めなのですか?
- 事実として、住宅用として売電するにはパネルとパワコンの小さい方を10kW未満に抑える必要があります。パワコンを抑えている以上、本物パネルを載せすぎても活かしきれないため、効率よく使える目一杯が13.475kWだと考えられます。ただしちょうどこの数字になる正確な理由は公表されておらず、ここは推測です。
- ダミーパネルとは何ですか?費用はいくらかかりますか?
- ダミーパネルは発電しない、屋根面を埋めるためのパネルです。一条の屋根はパネルで屋根面を作るため、本物で埋まらない部分をダミーで仕上げます。ろれさんの契約時の見積りでは屋根特殊施工(ダミーパネル)が2万5800円でした。金額は契約時期や仕様で変わります。
- 屋根の傾斜角で発電量は変わりますか?
- 変わります。発電が一番いいのはおおむね30度前後とされ、30度に近い3.5寸(約19.3度)の方が1.5寸(約8.5度)より発電は多くなります。ただし差は数パーセント程度で、屋根が南向きかどうかの影響の方が大きいです。
- 太陽光パネルは一部が影になると全部止まりますか?
- 半分は昔の話です。パネル内のセルは直列でつながっているため、昔は影と関係ない部分まで大きく落ちることがありました。今は影の部分を迂回して波及損失を抑える技術が進んでいます。ただし影になった部分のぶんはちゃんと減るので、ゼロになるわけではありません。