設計の途中で4.5帖の洋室に入っていたミックス窓は、換気のルールを満たせず、開き窓を2つ並べた窓に替えることになりました。

理由は建築基準法の「居室の換気1/20ルール」です。部屋の床面積が約7.5㎡なら、換気に有効な面積は0.37㎡以上必要です。ところがミックス窓で数えられるのは0.29㎡だけでした。


まず結論

項目ろれさんの洋室(4.5帖)
必要な換気の面積床面積 約7.5㎡ × 1/20 = 0.37㎡以上
途中の図面の窓ミックス窓 JM5930(FIX+開き):0.29㎡で足りない
替えた窓開き窓の2連 JK2430×2:0.8㎡でクリア
4.5帖の洋室に、ミックス窓が付けられなかった。必要な換気の面積は床面積約7.5㎡の1/20で0.37㎡、途中の図面のミックス窓JM5930は0.29㎡で足りず、替えた開き窓の2連JK2430×2は0.8㎡でクリア

窓の種類や一条工務店の窓ルール全体は、こちらの動画で解説しています。

この記事の内容は動画でも解説しています(クリックで再生)


ろれさんの洋室で起きたこと

設計打ち合わせの6回目で、洋室の窓を引き違い窓からミックス窓に変えた図面が出てきました。ミックス窓は、開かないFIXと開き窓をひとつの枠にまとめた窓です。

設計士さんは前回の打ち合わせで「換気のルールをもう一度確認する」と話していました。その計算をしたところ、4.5帖の洋室2部屋で換気の面積が足りませんでした。

換気に有効な面積の比較。必要ラインは0.37㎡。ミックス窓JM5930は0.29㎡で届かず、開き窓JK2430は1つで0.4㎡、引き違い窓J5930は0.54㎡、開き窓の2連JK2430×2は0.8㎡
窓換気に有効な面積必要な0.37㎡に対して
ミックス窓 JM5930(途中の図面の窓)0.29㎡足りない
開き窓 JK2430(1つ)0.4㎡足りる
引き違い窓 J5930(以前の案)0.54㎡足りる
開き窓の2連 JK2430×2(採用)0.8㎡足りる

各窓の面積は、打ち合わせで設計士さんから聞いた値です。

最終的な図面では、4.5帖の洋室2部屋とも JK2430 の2連になりました。


居室の換気1/20ルールとは

建築基準法第28条第2項に、こう書かれています。

居室には換気のための窓その他の開口部を設け、その換気に有効な部分の面積は、その居室の床面積に対して、二十分の一以上としなければならない。

  • 対象は「居室」。寝室・子ども部屋・書斎・LDKのように、継続的に使う部屋です(建築基準法第2条第4号の定義)
  • 数えるのは「換気に有効な部分の面積」

計算は、部屋の床面積を20で割れば必要な面積が出ます。ろれさんの洋室は打ち合わせの時点で2.73m×2.73m(約7.45㎡)でした。7.45㎡を20で割ると約0.37㎡で、設計士さんからも「約7.5㎡なので0.37㎡以上が必要」と説明されました。6帖(約10㎡)ならおよそ0.5㎡です。


窓の種類で変わる有効開口の面積

同じ大きさの窓でも、開き方が違えば数えられる面積が変わります。

数えられるのは開く部分。同じ幅1653mm高さ906mmでも、ミックス窓JM5930は開き窓部分だけで有効0.29㎡、引き違い窓J5930は片側分で有効0.54㎡。幅743mm高さ906mmの開き窓JK2430を2つ並べると、2つとも全部開くので有効0.8㎡

ミックス窓 JM5930 と引き違い窓 J5930 は、どちらも幅1653mm・高さ906mmです。ミックス窓は大部分がFIXで、開くのは端の開き窓だけ。引き違い窓は左右の障子が重なるので、開くのはおよそ片側分です。その結果、ミックス窓は0.29㎡、引き違い窓は0.54㎡と差がつきました。

一方、開き窓 JK2430 は1つが幅743mm・高さ906mmと小さめですが、窓全体が開きます。2つ並べると0.8㎡になり、ミックス窓の倍以上の面積が取れました。

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窓を替える3つの案と、2連の開き窓を選んだ理由

足りないと分かったあと、設計士さんから3つの案が出ました。

足りないと分かったあとに出た3つの案。A ミックス窓を大きくする案は、縦に伸ばすだけでは基準ぎりぎり、横長のJM8630で2部屋そろえると壁が足りず構造が弱くなる。B 引き違い窓J5930に戻す案は0.54㎡で問題ないが、開き窓よりすき間が出やすい。C 開き窓JK2430を2連にする案は0.8㎡で縦の長さが元の窓と同じ、ハニカムシェードは2つに分かれる
案よいところ気になるところ
A. ミックス窓を大きくする窓の種類は変えずに済む縦に伸ばすだけでは基準ぎりぎり。横長のJM8630で2部屋そろえると壁が足りなくなる
B. 引き違い窓 J5930 に戻す0.54㎡で問題なし。外観もそろえやすい開き窓よりすき間が出やすい
C. 開き窓 JK2430 を2連にする(採用)0.8㎡。縦の長さが元の窓と同じハニカムシェードが2つに分かれる

設計士さんの説明では、すき間の少なさは「開き窓1つ > ミックス窓 > 引き違い窓」の順でした。2連の開き窓は、すき間の少ない開き窓を2つ並べる形なので、引き違い窓よりもすき間が出にくくなります。

ろれさんは設計士さんがすすめた C をまず図面に入れてもらい、外観を見て決めました。面積に余裕があり、すき間の少ない開き窓のまま窓の高さもそろえられたからです。JK2430 は高さ906mm・床から窓の下端まで1238mmで、それまでの J5930 とそろいます。2つ並べた横幅も元の窓と近く、外から見た印象もあまり変わりません。

窓が2つになる費用については、ろれさんの打ち合わせで、横に並べた2連の窓は1か所の扱いで計算するため、窓のオプション費は大きく増えないと説明されました。

ろれさんが気にしたのは、ハニカムシェードが2つに分かれて費用が上がることでした。設計士さんからは、窓1つあたりが元の半分ほどの大きさになるので、費用はそこまで変わらないと説明を受けています。小さい開き窓を2つ並べる形は、気密を大事にする施主に採用が多いそうです。


窓の大きさ・位置は耐力壁とセットで決まる

案Aで窓を横に大きくすると、壁の量が足りなくなります。

窓の位置は耐力壁になる壁とセットで決まる。角に1マス約91cmの壁を残すと耐力壁として見られる。窓を部屋の中央に寄せて窓脇の壁が約44cmになると、構造は持つが耐力壁の扱いにならない

打ち合わせの3回目に、設計士さんから次の説明がありました。

  • 耐力壁(地震や風の力を受け止める壁)として見るには、1マス分まるまる壁になっている必要がある
  • 窓を部屋の真ん中に寄せると、窓脇に残る壁は約44cm(半マス)。構造としては持つが、この壁は耐力壁の扱いにならない
  • だから設計士さんがよく提案するのは、角に1マスの壁を残してから窓を付ける配置

別の回では、窓と窓のあいだにも1マスの壁が欲しいとも言われました。横に広い窓を2部屋にそろえて入れると、壁がほとんど残らなくなります。案Aの「壁が足りず構造が弱くなる」は、この壁のことです。

ろれさんの家では、開き窓を2つに分けたことで、壁の量を保ったまま面積を確保できました。


部屋をつなげると、換気の計算はどうなるか

1/20ルールは部屋ごとにかかるので、部屋をつなげると計算の単位も変わります。

ろれさんの家では、打ち合わせの途中でLDKと隣の部屋を壁なしでつなげました。つなげた部屋の窓は要らなくなるのかと聞いたところ、設計士さんの答えはこうでした。

  • 部屋の窓には、採光(明るさ)と換気の2つの基準がある
  • 南の大きな窓1つで、つなげたLDKの換気の基準はおそらく足りる
  • ただし玄関ホールとの間にも建具を付けていない。役所や検査機関が玄関ホールまでひと続きの空間とみなすと、必要な面積が増えて足りなくなるかもしれない
  • 検査機関のチェックが入るのは、工場へ発注したあと。そこで足りないと分かると、窓を増やすか建具で区切るしかない。発注前に検査機関へ扱いを確認しておくほうが安全

建築基準法第28条第4項には「ふすま、障子その他随時開放することができるもので仕切られた二室は、一室とみなす」という規定もあります。

壁で仕切らずLDKとつなげた空間にFIX窓だけを付ける方法は、窓を減らすならどこから?で紹介しています。

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【詳細】24時間換気と換気用の窓の関係

一条工務店の家には24時間換気(ロスガード)が付いています。ただ、24時間換気があっても、窓の1/20ルールが自動で外れるわけではありません。

換気の窓と24時間換気は別のルール。換気のための窓は建築基準法第28条第2項で、換気に有効な開口が居室の床面積の1/20以上。24時間換気は第28条の2と施行令第20条の8のシックハウス対策で、住宅の居室は1時間に部屋の空気の0.5回分以上。ろれさんの洋室は約7.5㎡÷20で0.37㎡以上に対し開き窓の2連0.8㎡、24時間換気は気積18.24㎥に14㎥毎時で0.77回毎時
換気のための窓24時間換気
根拠建築基準法 第28条第2項建築基準法 第28条の2・施行令 第20条の8
決め方換気に有効な開口が床面積の1/20以上住宅の居室は1時間に部屋の空気の0.5回分以上を機械換気
ろれさんの洋室約7.5㎡ ÷ 20 = 0.37㎡以上 → 0.8㎡気積18.24㎥に14㎥/時 → 0.77回/時

24時間換気は、建材から出る化学物質(シックハウス)対策のルールです。ろれさんの家では、洋室(床面積7.60㎡・天井高2.4m・気積18.24㎥)に14㎥/時の換気量を割り当て、1時間に0.77回分の空気が入れ替わる設計です。

1/20ルールが外れるのは、第28条第2項のただし書き「政令で定める技術的基準に従つて換気設備を設けた場合においては、この限りでない」に当たるときです。その基準が施行令第20条の2です。機械換気の場合は、部屋の床面積と1人あたりの占有面積から計算した換気量を満たす設計にする必要があります。

ろれさんの担当設計士は、このただし書きを使わず、24時間換気が入る家でも洋室ごとに1/20を計算して窓を決めていました。


【詳細】条文で確かめておきたいこと

窓まわりの法律は、換気のほかにもう1つ採光(明るさ)のルールがあります。

ルール条文内容
採光建築基準法 第28条第1項・施行令 第19条住宅の居住のための居室は、採光に有効な面積が床面積の1/7以上(国土交通大臣の基準に従った措置で1/10まで緩和される場合あり)
換気建築基準法 第28条第2項換気に有効な面積が床面積の1/20以上。施行令第20条の2の換気設備を設けた場合は適用外
2室を1室とみなす建築基準法 第28条第4項ふすま・障子など随時開けられるもので仕切られた2室は、採光・換気の計算で1室とみなす
火を使う部屋建築基準法 第28条第3項・施行令 第20条の3コンロなど火を使う設備のある調理室などには換気設備が必要

採光は「明るさ」、換気は「開く面積」と、見ているものが違います。FIX窓は採光には数えられても、開かないので換気には数えられません。

ろれさんの家の最終的な床面積は、洋室7.60㎡・洋室(2)7.93㎡です。この面積で1/20を計算すると0.38㎡・0.40㎡で、どちらも2連の開き窓(0.8㎡)で余裕をもって満たします。正式な計算は設計士さんが行うので、ここでの値は目安として見てください。


窓を決める打ち合わせで確認する5つ

窓を決める打ち合わせで確認する5つ。1 部屋の床面積÷20が必要な換気の面積。2 窓の開き方を変えたら有効な面積を計算し直してもらう。3 窓を大きく・横にずらすときは残る壁の幅も見る。4 部屋をつなげる・建具をなくすときは何室の扱いかを聞く。5 窓を2つに分けるならハニカムシェードの数も確認
  1. 部屋の床面積 ÷ 20 = 必要な換気の面積(4.5帖なら0.37㎡以上)
  2. 窓の開き方を変えたら、有効な面積を計算し直してもらう
  3. 窓を大きく・横にずらすときは、残る壁の幅も見る
  4. 部屋をつなげる・建具をなくすときは「何室の扱いか」を聞く
  5. 窓を2つに分けるなら、ハニカムシェードの数も確認する

ろれさんの洋室は、ミックス窓に変えたことで換気の面積が足りなくなり、開き窓の2連にして、換気の面積とすき間の少なさの両方を満たしました。

一条工務店で選べる窓の種類と無料枠のルールは一条工務店の窓の種類一覧、窓ごとにかかるシェード代はハニカムシェードの記事で詳しく解説しています。

ろれさんはまだ入居前(建築中)なので、この記事は使い心地ではなく、打ち合わせでの判断と図面・計算書の数字までの話です。

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出典

  • e-Gov法令検索「建築基準法」第28条(居室の採光及び換気)・第28条の2: https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000201
  • e-Gov法令検索「建築基準法施行令」第19条(居室の採光)・第20条の2(換気設備の技術的基準)・第20条の3・第20条の8: https://laws.e-gov.go.jp/law/325CO0000000338
  • 一条工務店「サッシ一覧(Jサッシ)i-smart・i-cube・GRANDSMART用」(打ち合わせで受け取った資料。窓の寸法)
  • ろれさんの家の設計図面・シックハウス換気計算書(窓の型番、洋室の床面積・気積・設計換気量)