一条工務店で太陽光を載せると元が取れるのか。打ち合わせで見せられるシミュレーションの数字を、どこまで信じてよいのか。

ろれさんは契約前に、一条から太陽光の収支シミュレーションを出してもらいました。途中で屋根の勾配を3.5寸に変え、シミュレーションも出し直してもらっています。

ろれさんのシミュレーションは回収8年10か月、30年間の予想メリットは819万円でした。

一条が出した太陽光13.475kWの収支シミュレーション。搭載費用273.4万円(税込)÷月々の予想メリット25,973円=回収期間8年10か月。30年間の予想メリットは819万円(搭載費用を引く前)、初年度の発電量は15,731kWh(屋根3.5寸・南西15°)

ろれさんはまだ建築中で入居していません。ここに出すシミュレーションの数字は一条の試算で、実際の発電量や電気代の実績ではありません。売電と買電の単価は、シミュレーションを作った2025年2〜3月時点の前提です。

ろれさんのシミュレーションの数字

項目数字
太陽光と蓄電池13.475kW + 蓄電池7.04kWh(申請は9.900kW)
搭載費用273.4万円(税込。見積では税抜2,485,000円)
月々の予想メリット25,973円(1〜10年目の平均)
回収期間8年10か月
30年間の予想メリット8,189,530円(費用を引く前)
初年度の発電量15,731kWh

ろれさんが太陽光を、その屋根で載せられる最大の13.475kWにしたのは、一条の太陽光はコストパフォーマンスがよいと考えたからです。なぜ13.475kWが最大になるのかは、動画で詳しく話しています。

この記事の内容は動画でも解説しています(クリックで再生)


月25,973円の中身は「売る・使う・貯めて使う」

月々の予想メリットは、売電の収入と、電気を買わずに済んだ分(自家消費と蓄電池)を足したものです。

年間メリットの内訳を10年ごとに示した帯グラフ。1〜10年目は売電168,144円(11,548kWh)、自家消費76,712円(1,956kWh)、蓄電池66,831円(1,694kWh)で計311,687円。11〜20年目は売電115,306円で計257,935円。21〜30年目は売電107,724円で計249,331円
期間売電自家消費蓄電池1年あたりの計
1〜10年目168,144円(11,548kWh)76,712円(1,956kWh)66,831円(1,694kWh)311,687円
11〜20年目115,306円(10,483kWh)75,797円(1,922kWh)66,832円(1,694kWh)257,935円
21〜30年目107,724円(9,793kWh)74,778円(1,896kWh)66,829円(1,694kWh)249,331円
  • 売電:使い切れなかった電気を電力会社に売った収入
  • 自家消費:昼間に発電した電気を家で使い、電気を買わずに済んだ分
  • 蓄電池:昼の電気を貯めて夜に使い、夜の電気を買わずに済んだ分

1〜10年目は売電が半分以上を占めています。発電した電気の7割以上を売る計算だからです。

11年目からは売電の金額だけが大きく下がります。一条のシミュレーションは、11年目以降の売電単価を15円から11円に下げて計算しているためです。自家消費と蓄電池の分は、30年間ほとんど変わりません。発電量は年0.5%ずつ下がる前提なので、売電量も10年ごとに少しずつ減っています。

月25,973円は、1〜10年目の年間311,687円を12で割った数字です。回収期間はこの「一番条件のいい10年間の平均」で割り算しています。

屋根の傾きを変えたら、回収が4か月縮んだ

ろれさんは2025年2月と3月に、太陽光のシミュレーションを2回出してもらっています。そのあいだの打ち合わせで、屋根の勾配を1.5寸から3.5寸に変えたからです。地域・向き(南西15°)・容量・建物の条件は同じで、違うのは勾配だけです。

屋根の勾配を1.5寸から3.5寸に変えた。水平10に対する立ち上がりが1.5の屋根は約8.5度、3.5の屋根は約19.3度(ろれさん採用)。シミュレーションの年間発電量は14,923kWhから15,731kWhへ808kWh(約5.4%)増え、冬の11〜2月が大きく増えて夏の5〜7月はわずかに減る。回収期間は9年2か月から8年10か月

ろれさんが3.5寸にしたのは、シミュレーションで1.5寸より3.5寸の方が年間の発電量が多かったからです。ろれさんのグラン・スマートでは、勾配の変更に追加費用はかかりませんでした(i-smartなどの商品では有料のこともあります)。

屋根の傾きだけを変えた2枚のシミュレーションの月別発電量の比較。1.5寸に対して3.5寸は1月+211kWh、12月+188kWh、11月+133kWhと冬に大きく増え、5月-21、6月-27、7月-23と夏はわずかに減る。年間発電量14,923→15,731kWh、月々の予想メリット24,927→25,973円、回収期間9年2か月→8年10か月、30年の予想メリット788万→819万円
項目1.5寸(2025年2月)3.5寸(2025年3月)
年間発電量14,923kWh15,731kWh(+808kWh)
月々の予想メリット24,927円25,973円
回収期間9年2か月8年10か月
30年間の予想メリット7,881,650円8,189,530円

冬は太陽の位置が低く、傾きのある屋根の方が太陽に対して面が垂直に近くなるので、冬の11〜2月が大きく増えています。

3.5寸の数字は、2026年3月までの資金計画書にも載っています。この記事で「ろれさんのシミュレーション」と書くのは、3.5寸の方です。屋根の形と勾配をどう決めたかは太陽光は屋根の形で積載量が変わるにまとめています。

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シミュレーションの前提と、今の制度との違い

シミュレーションの下に、細かい字で試算の条件が書かれていました。

シミュレーションの前提と2026年10月時点の制度を並べた表。売電1〜10年目は15.0円で2025年度上期の国の価格と同じだが2025年10月以降の認定は24円(1〜4年)・8.3円(5〜10年)。売電11年目以降は11.0円で国の固定価格はなく一条公式サイトの今の試算条件は7円。買う電気の単価は当初の単価のまま30年で逆算約39円。建物はi-smart・延床25坪・夜型の条件で、ろれさんの家はグラン・スマート・約21坪。回収期間は金利・メンテナンス費を入れない単純な割り算
前提シートの値今の制度・一条の試算条件(2026年10月時点)
売電単価(1〜10年目)15.0円/kWh2025年度上期の国の価格と同じ。2025年度下期以降の認定は24円(1〜4年目)・8.3円(5〜10年目)
売電単価(11年目以降)11.0円/kWh国の固定価格はない。一条公式サイトの今の試算条件は7円
買う電気の単価当初の単価のまま30年、各種割引なしメリットから逆算すると約39円/kWh
建物の条件i-smart・延床25坪・生活スタイル「夜型」ろれさんの家はグラン・スマートで約21坪
回収期間の計算搭載費用 ÷ 月々の予想メリット金利とメンテナンス費は入っていない

売電単価15円は、作った時点の国の価格

1〜10年目の15円は、2025年度上期の住宅用(10kW未満)の買取価格と同じです。シミュレーションを作った2025年2〜3月時点では、ちょうどこの価格が決まっていました。

その後、2025年度下期から「初期投資支援スキーム」が始まり、2026年度も同じ形です。1〜4年目が24円、5〜10年目が8.3円の階段型になっています。10年間を単純に平均すると14.58円で、15円とほとんど変わりません。違うのは受け取る時期で、前半4年の受け取りが多くなるので、回収は早まります。

単価は「売る年」ではなく「認定を受けた年度」のものが10年間続きます。これから建てる方は、シミュレーションが自分の認定年度の単価で作られているかを確認してください。制度の細かい仕組みは一条工務店の太陽光FIT完全解説で整理しています。

卒FIT後の11円は、今の一条の試算条件より高い

11年目以降の11円には、国が決めた価格がありません。10年の買取期間が終わると、各社が自由に決めた単価で買い取ることになるからです。

一条の公式サイトに載っている今の試算条件では、期間終了後は7円で計算されています。「一条でんき」は一条オーナー限定の買取サービスです。2026年度の単価は、東京電力エリア(埼玉を含む)で、電気契約とセットなら11.5円、買取のみなら9.5円です。10年後の単価はまだ分かりません。シミュレーションの11円は、一条の試算条件の7円や買取のみの9.5円より高く、セットの11.5円より低い金額です。

買う電気の単価は30年間据え置き

自家消費と蓄電池のメリットは、「買わずに済んだ電気 × 買う電気の単価」です。一条のシミュレーションでは、最初の買電単価を30年間そのまま使い、各種割引は考えていません。メリットの金額から逆算すると、1kWhあたり約39円で計算されていました。

建物の条件は、ろれさんの家と少し違う

シミュレーションの建物は「i-smart・延床25坪・夜型」で計算されています。ろれさんの家はグラン・スマートの平屋で、延床は約21坪です。家で使う電気の量は建物の大きさや仕様で変わるので、自家消費の数字はその分ずれる可能性があります。

単価が1円動くと、30年メリットはいくら動くか

シートの発電量をもとにすると、単価が1円動いたときの30年メリットの変化は次のとおりです。

単価が1円動いたときの30年メリットの変化の概算。売電単価1〜10年目は約11.5万円(11,548kWh×10年)、卒FIT後の11〜30年目は約20.3万円(202,760kWh)、買う電気の単価は30年で約10.9万円(108,560kWh)。卒FIT後が7円なら約81万円減、11.5円なら約10万円増
動く単価対象の電力量1円あたりの影響(30年)
売電単価(1〜10年目)11,548kWh × 10年約11.5万円
売電単価(11〜30年目)202,760kWh(20年分)約20.3万円
買う電気の単価自家消費と蓄電池 108,560kWh(30年分)約10.9万円

30年メリットへの影響が一番大きいのは卒FIT後の売電単価です。20年分の売電量に掛かるので、1円の違いが約20万円になります。

たとえば卒FIT後が11円ではなく一条の今の試算条件と同じ7円だったら、30年メリットは約81万円減って、819万円が約738万円になります。逆に一条でんきのセット単価11.5円なら、約10万円増えます。どちらもシートの発電量から計算した概算で、一条が出した数字ではありません。

「30年で819万円」は、費用を引く前の数字

シミュレーションで一番目立つのが「30年間の予想メリット 8,189,530円」です。ただ、これは売電・自家消費・蓄電池を30年分足した金額で、搭載費用は引かれていません。

30年で819万円は費用を引く前の数字という図。30年間の予想メリットは8,189,530円、同じシートのグラフの30年間の貯蓄総額は475.6万円で、差の343.4万円は搭載費用273.4万円の支払いと16年目のパワーコンディショナなどのメンテナンス費など。屋根1.5寸のシミュレーションも788.2万円−444.8万円で同じ343.4万円の差

同じシートの回収グラフには「30年間の太陽光貯蓄総額 475.6万円」と書かれています。こちらは搭載費用の支払いと、メンテナンス費を差し引いたあとの数字です。

項目金額
30年間の予想メリット(費用を引く前)8,189,530円
30年間の貯蓄総額(シートのグラフ)475.6万円
差343.4万円

差の343.4万円のうち273.4万円が搭載費用です。残りは、16年目のパワーコンディショナなどのメンテナンス費です。内訳の金額はシートには書かれていません。1.5寸のシミュレーションでも788.2万円と444.8万円で差は同じ343.4万円なので、勾配に関係なく同じ費用が引かれていることになります。

回収期間の8年10か月も、金利とメンテナンス費を入れない単純な割り算です。つまり、9年弱で回収でき、30年で約476万円が残る計算です。

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【詳細】月7,138円のローン返済プランとの関係

シートの右上には、「すぐラク」という返済プランの例も載っています。太陽光と蓄電池の費用を住宅ローンに入れたら、毎月の返済がどうなるかの試算です。

項目借入なし275万円を借りた場合
毎月の返済0円7,138円(35年・金利0.5%の例)
月々のメリット(1〜5年目)26,225円26,225円
実質の返済(1〜5年目)-26,225円-19,087円

月々のメリットが26,225円なのは、1〜5年目の平均だからです(1〜10年目の平均は25,973円)。一条の試算では、275万円を借りても、1〜5年目は太陽光のメリットが返済を毎月約1.9万円上回ります。7,138円×12か月×35年で総返済額は約300万円になり、利息は約25万円です。金利0.5%はシートを作った2025年初めの例なので、今の金利で考えるなら返済額は変わります。

【詳細】申請が9.900kWになる理由

ろれさんの家の図面には「13.475kW(申請:9.900kW)」「余剰(10kW未満申請)」と書かれています。パネルは13.475kW載っているのに、申請は9.900kWです。

多めに載せると曇り・朝夕を底上げできるという図。パワコンの上限の線に対して、容量多めのパネルは晴れた真昼に上限で頭打ちになるが、曇りの日や朝夕は少なめの容量より上限に近い出力が出る

FITの申請では、太陽光パネルの合計とパワーコンディショナの出力のうち、小さい方が設備の出力になります。パワコン側が9.9kWなので、申請上は住宅用(10kW未満)の区分です。住宅用の区分なら、余った電気だけを売る「余剰買取」で、上で見た住宅用の単価が使えます。

パワコンの上限に当たるのは、よく晴れた真昼のピークのときです。曇りの日や朝夕は、パネルを多めに載せているぶん、出力が多くなります。13.475kWという容量が決まる理由は太陽光パネルは何kW載る?、蓄電池との組み合わせは太陽光13.475kW+蓄電池7kWhはなぜ最適かで書いています。

一条工務店の施主27世帯の電気代の実績は、一条工務店の電気代は実際いくら?で集計しています。

まとめ:数字より先に前提を見る

ろれさんのシミュレーション(回収8年10か月・30年819万円)を読むときの確認点は、次の3つです。

  • 売電単価:1〜10年目15円・11年目以降11円は2025年初めの前提で、今の制度や一条の試算条件とは違う
  • 費用の引き方:819万円は費用を引く前の数字で、引いたあとの貯蓄総額は475.6万円(回収期間も金利とメンテナンス費を入れない単純な割り算)
  • 建物の条件:i-smart・延床25坪・夜型で、ろれさんの家とは違う

打ち合わせでシミュレーションを見せられたら、単価、建物の条件、費用を引く前か後かを確認してから使ってください。前提はシートの下の注記に書かれています。

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一条工務店の紹介制度についてはこちらの記事にまとめています。

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